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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

カット一つで味が変化
熟練の食肉加工技術

 

大胆かつ繊細な、食肉加工技術

 
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岩崎 私もテレビのお仕事でアフリカのスーダンに行ったとき、牛の解体に立ち会った経験があるんです。食肉加工のお仕事って、技術はもちろん、体力も必要なお仕事ですよね。
 
若井 そうですね。半身の牛肉がフックに掛けられてぶら下がっている状態のお肉を枝肉と言います。枝肉は牛の半身で平均250kgくらいあるんですよ。つまり、1頭分の牛で考えると、平均500kgある計算になりますね。それを我々チームが一日で何頭分、加工処理していると思いますか?
 
岩崎 実際アフリカに行ったときは、一頭の牛を解体するのに1日かけても終わらなかったんですよね。でも、道具や技術の差があると考えて・・・2頭くらいでしょうか?
 
若井 いえ、時期や日により作業量に変化はあるものの、例えば今日だと22頭です。8人チームで作業して、1頭20分弱で処理して正肉になります。
 
岩崎 22頭も! 信じられないほどの処理数で驚きました。
 
若井 岩崎さんも先ほどおっしゃっていたように、私たちの道具と技術力が優れているのは確かです。まず、食肉加工する際に使うナイフの切れ味がすごいんですよ。一般的な包丁だと、肉を切るときに繊維をつぶしてしまい、旨味を逃がしてしまうんです。ですから、ナイフはこれ以上ないくらい磨きをかけています。それから、加工スピードも大切なんです。酸化すると味も見た目も落ちてしまうため、肉の鮮度を保つにはスピーディかつ的確にナイフを入れていかないといけないんですよ。
 
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岩崎 大胆かつ繊細に、という感じですね。すごい技術なんだなあ。若井社長のその技術力は、いかにして磨かれてきたのでしょう?
 
若井 30年の経験で自然と培われた技術も当然あります。あとは、日々の勉強ですね。2019年には、ミートマイスターの資格を取得しました。これは、部分肉製造技術者のプロに与えられる資格で、食肉業界で7年以上の実務経験がないと受験資格すらもらえないんです。実技はもちろんのこと、食肉の文化、衛生管理・表示義務・原価計算なども勉強しなければならないので、資格取得は非常に大変なんですよ。
 
岩崎 すごいです。若井社長は、名実ともに食肉業界のプロでいらっしゃるんですね。