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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

人々の笑顔を大切にする
建築板金工事の老舗企業

 

歴史的建造物の修繕工事なども手がける

 
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矢部 先ほどお話しされていたように、御社はお父様が創業してから60年近くもの歴史がある老舗企業なんですね。
 
沼尾 ええ。私の父が本家筋から技術を継承して独立し、1966年に創業しました。その後1999年に法人化したんです。
 
矢部 沼尾社長は跡を継ぐために、このお仕事をされていたのですか?
 
沼尾 いえ、もともとは後を継ぐ気はなかったんです。最初は家電業界の大手企業に就職し、2~3年ほど勤務していました。その後、転職を考えていた際に、父から仕事を手伝わないかと声をかけられまして。現場に出てみたところとても楽しく感じられたんです。小学生から中学生の頃に時々父の手伝いをしていたので高所作業に慣れていたことや、前職がオフィスワークだったので、外で作業するのが気持ち良かったという理由もありますね。それ以来、30年以上この業界で仕事をしています。
 
矢部 建築板金の仕事は天職だったわけですね。沼尾社長にとってこのお仕事のやりがいは何ですか?
 
沼尾 自分が工事を手がけた建物が長く残り続け、そこにたくさんの人に訪れていただけることですね。実は、父は神社仏閣などの修繕工事も行っていまして。私もそれを受け継ぎ、栃木県日光市にある歴史的建造物の修復にも携わりました。
 
矢部 それはすごいですね! 歴史的建造物となると高度な専門技術が必要なのではないですか?
 
glay-s1top.jpg 日光市にある龍蔵寺の屋根もきれいな仕上がりに
日光市にある龍蔵寺の屋根もきれいな仕上がりに
沼尾 おっしゃる通りですね。いわゆる宮大工が木材を用いる施工を行うのに対して、金属を扱う宮板金ともいわれる伝統的な技法です。歴史的建造物は、用いる部材はもちろん、その施工方法や技術も含め、すべて歴史や伝統に基づいています。当然ながら、部材も技術も、すべて現代のものを用いてつくり替えたほうが品質も作業効率も良くなるんです。しかし、それではもはや歴史的建造物とは呼べません。創建当時の技術が失われてしまったら、別の建物になってしまいますからね。
 
矢部 確かに、工事に使用する道具も何もかも現代とは異なりますし、繊細な作業が求められる大変なお仕事のように思います。
 
沼尾 そうですね。でも、だからこそ、この仕事に誇りを持てるんです。社員たちもどんな現場にも対応できるよう、建築板金職人の腕前を競う競技大会に出場するなどして技術を高め合っています。
 
矢部 歴史や伝統を大事にしながら、さらに技術も高めておられるとは、本当に素晴らしいと思います!