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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

 
プロフィール 神奈川県出身。大学卒業後は全国展開の製薬会社に就職し、営業にいそしむ。その後、大手不動産会社を経て少人数の土木建築会社で現場作業に携わり、起業を決意した。趣味の登山でロープを使っていたことから、ロープアクセス作業に魅力を感じ、ビルメンテナンス会社の勤務を経て独立。国際資格のIRATAを国内でも早期に取得するなど、安全性を高く意識した作業をモットーとし、業種業界を問わず依頼が舞い込んでいる。【ホームページ
 
 
 
巧みな技で高所作業を行うロープアクセス作業員。足場を組めない現場で活躍する彼らは、いつも危険と隣り合わせだ。厚生労働省の発表では、ロープアクセス作業において、2016年から過去6年で24人の命が失われている。だからこそ、代表取締役・苅谷健太氏の安全への思いは強く、国際資格IRATA(アイラタ)をいち早く取得し、IRATA向けトレーニング施設も開設した。日本のロープアクセス業界を向上させたい。その情熱が、全ての原動力だ。
 
 
 

遅れがちな国内ロープアクセス業界に光明が

 
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インタビュアー 城彰二(サッカー元日本代表)
 本日はロープアクセス作業を手がける、F(エフ)さんにお邪魔しています。恥ずかしながら、ロープアクセスが何なのかよくわからないので教えていただけますか?
 
苅谷 簡単に言えば、ナイロン製のロープを用いて窓清掃などの高所作業をする仕事です。城さんが知らないのも当然で、世界各国と比べて日本はロープアクセスの認知度が低いですし、技術・安全性の確立が遅れているんですよ。
 
 ほう、細かい作業が得意と言われる日本なのに遅れているんですか。
 
苅谷 日本の高所作業会社の多くは、多少条件が悪くても、安全安心な足場を組み立てられる技術を持っていますからね。しかし昨今では、ビルの密集や高層化、デザインを重視した複雑な形状をした建物が多くなり、全ての作業を足場やゴンドラなどで行うのが困難になりました。そういった中で、ロープを使用したアクセスも注目されつつあります。2016年1月には「ロープ高所作業」についての安全衛生規則の改正がなされました。
 
 法整備が始まれば、業界としての転機になりそうだ!
 
苅谷 ただ、施行間もないこともあり、基本中の基本を定義しただけに留まり、まだまだ内容の改善余地が多くあるように思えます。仮に現状の「法律に書いてある文面のみを守るだけでOK」と、安全意識が緩んでしまうようなことになると、問題ですよね。
 
 確かに、車でも道路交通法は前提で、安全運転は自分自身の意識が大切ですよね。
 
苅谷 その通りです。しかし今までは、その道交法すらない状況同然でしたからね。各々が自己流で自分の身を守ってきたわけです。安全対策の教科書もなかったような状態から抜け出せることは、業界にとって大きな前進だと思います。