B+ 仕事を楽しむためのWebマガジン

経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

利便性の高い検査器材で
検査現場の手間を軽減!

 

挫折を糧に、もう一度チャレンジ

 
glay-s1top.jpg
三浦 試験管1つとっても、驚くような工夫があるものなんですね! 他にもそうした開発秘話があれば教えてください。
 
吉田 そうですね。試験管というのは、様々な太さがあるので蓋をするキャップのサイズを統一できなかったんですよ。「不便だ」というお客様の声にお応えし、どんな太さの試験管にも使えるプラスチック製のキャップを開発しました。
 また、滅菌済みの試験管は通常、10本ずつ包装してパッケージされている状態なんです。それを使用時に開封すると滅菌効果が低くなるため、開封しても滅菌効果を維持できる包装材をつくりました。その際、試験管を1本ずつ包装していくと加工賃が高くなる。そこで、一度の作業で10本分まとめてミシン目を入れられる仕組みにして、従来品と変わらない価格でミシン目を入れた試験管のパックをご提供することに成功しました。
 
三浦 お話をうかがっていると、吉田社長は病院や検査機関のスタッフなど、お客様の声を形にすることに喜びを感じていらっしゃるように思います。他社では対応しないような、細かな改善にも取り組むのは、業界にとって貴重な存在ですよ。こういう仕事を手がけている吉田社長がどんな経歴を歩まれてきたのかが、気になってきました。出身はどちらなんですか。
 
glay-s1top.jpg
プラスチック製キャップ。太さに合わせて蓋ができる
glay-s1top.jpg
10本分をまとめてパッケージしてコストを抑えた
吉田 千葉県白井市です。野球が好きで少年野球から始め、大学には野球推薦で入学したんです。当時は自分の実力に自信を持っていて、将来はプロになって当たり前、というくらい天狗になっていました。しかし、大学で鼻っ柱を折られてしまいましてね。野球の道を諦め、しばらくは何もせずふらふらしていたんです。
 
三浦 野球は一切やらなくなったんですか?
 
吉田 はい、その代わりにいろいろなスポーツに挑戦するようになりました。そんなとき、サーフィンのボードというのは、じつは小さな工場でコツコツつくられていることを知ったんです。
 
三浦 それは僕も知らなかったなぁ。大手企業が工場で大量生産しているわけではないんですね。
 
吉田 そうなんです。そのことを知って「野球を諦めた自分にも、何かできることがあるんじゃないか」と勇気づけられましてね。それで、父が創業した当社で働くべく、まずは臨床検査器材を使用する仕事を経験しました。その後、2000年に当社に移り、2013年から経営を引き継ぐことになったのです。