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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

 
プロフィール 東京都出身。商社勤務の父親を持ち、小学校時代をキューバで過ごす。中学卒業後は父親の転勤でイギリスへ渡り、3年間寄宿舎で暮らした。日本に帰国後は大手旅行会社やテレビ局に勤務し、東京音楽祭など各イベントで来日するアーティストの補佐や手配に従事。32歳の時に(株)ウィルビー・インターナショナルを設立した。当初は英語のみの対応だったが、約1000名のスタッフを抱える現在は50言語以上を扱っている。【ホームページ
 
 
 
世間で最も誤解されている職業の1つが通訳者かもしれない。「コンピュータ翻訳が進歩し、あと3年で通訳者はいらなくなる」と言われるのも、語学力さえあれば誰でも務まると思われているからだ。確かに翻訳機の発達はめざましい。だが、言葉に込められた絶妙なニュアンスや深い意味などを、果たして機械は汲み取れるだろうか? 形に表せない思いをしっかりと相手に伝えるのは人間でも難しい。その困難な仕事に立ち向かうのが通訳者である。
 
 
 

語学力だけでは通訳者になれない

 
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インタビュアー 前園真聖(サッカー元日本代表)
前園 ウィルビー・インターナショナルさんは、通訳や翻訳を手がけて今年2015年で30年以上の実績をお持ちだとか。僕も現役時代から通訳さんのお世話になっていますが、あらためて、通訳はどんな仕事なのでしょうか?
 
平形 私は「現地の人と日本人とをつなぐ仕事」と表現しています。ポイントは自分の感情を入れないことですね。
 
前園 つまり、相手の意図を正確に伝えるために自分を消すんですね。いっぽうで、相手の気持ちを汲んだり、それにふさわしい言葉を選んだりと、個々の通訳者のセンスも問われるような気がします。例えばサッカーの現場で、監督が怒っている内容を冷静に訳しても切迫した思いは伝わらないから、通訳者も熱い口調になるんです。ただ、それでも通訳者個人の感情は確かに入っていない。僕はあれに通訳のプロフェッショナルを感じます。
 
平形 とてもいい理解だと思いますよ。機械的に言葉を話せばいいわけでも、誰でもできる仕事なわけでもないですからね。また、私は長年の経験から、人によって向き不向きがあるとも感じています。自分で外国語を話すのには申し分ないけれど、通訳ではつい自分の意見が入ったり性格が出たりしてしまう人も多いんですよ。
 
前園 一見単純そうな仕事に見えるかもしれないけど、本当はとても奥が深い仕事なんですね。平形社長のお考えでは、どんな人が通訳者に向いているんでしょう?