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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

化石有機肥料を輸入販売
開拓魂で有機農業を普及

 

品質や輸送面の課題を克服して信頼勝ち得る

 
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100%天然のグアノは無臭で安全だ
杉田 やはり、どれだけいい商品でも知ってもらうまでは大変なんでしょうね。少し前に、日本の有機農業は国内の農業全体の1%にも満たないという話を耳にしたことがあります。
 
永塚 そうですね。有機肥料の輸入量は全国で年間9000トンくらいなのに対し、主流を占める化成肥料はどうかというと、年間生産量が約600万トンですからね。まさにケタ違いです。
 
杉田 やはりそんなに違いがあるんですか。先ほど、3年間大変だったとおっしゃいましたが、輸入品の場合、品質や輸送の管理にも国内生産以上のご苦労があったのではありませんか?
 
永塚 その通りです。そもそも、グアノが採れるインドネシアの田舎では、英語なんかは全く通じませんからね。東京でインドネシア語を勉強して、3年がかりで何とか通訳なしで、土地の人たちと交渉できるようになりました。
 
杉田 そうか! まず言葉からなんだ。3年で克服するなんてすごいです。
 
永塚 いやぁ、まだまだですよ。他にも苦労はあって、グアノは元々サンゴ礁だったわけですが、採れるのは海ではなく険しい山道を進んだ先にある鉱床で、そこから掘り出した原石を粉砕機で微粉末にするんです。しかし、粉のままでは農地に機械で撒くことができないので、粒状に加工しなければいけません。これがなかなか大変でして。
 
杉田 大規模な栽培では、機械撒きに対応しないと使いづらいでしょうね。
 
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ミネラルが多く含まれバランスのとれた土壌づくりに最適
永塚 そうなんですよ。それで攪拌機に入れた微粉末に水を添加しながら回転させ、コロコロの粒状にしますが、これだけだと固まり切らない粉が底にたまるし、粒がもろくて輸送中につぶれてしまう。そこで、試行錯誤の末に編み出したのが、モラセス、つまり廃糖蜜を2%ほど加える方法です。こうすることで粒に粘りが出て、固すぎず、つぶれにくい状態にすることができました。
 
杉田 なるほど、廃糖蜜によってほど良い水気が保たれるんだ。輸送する時は、袋詰めしたものを船で運ぶんでしょうか。
 
永塚 そうです。ところが最初の頃、熱で溶着する手法で封じたはずの袋の口がところどころ開いてしまい、肥料が大量にこぼれるトラブルがあったんですよ。結果的に、お客様に正価で売ることはできないし、保険も適用されず、あの時は参りました。現地の工場に密封を徹底してもらうことで改善できたので現在も同じ手法で輸送していますが、今後は土嚢と同じように、ミシンでしっかり封じることも検討したいと思っています。
 
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試行錯誤の末、この原石を粒状にする技術を編み出した
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苦労を共にする採掘現場の現地スタッフと記念撮影