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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

日本と台湾をつなぐ
「安心」の不動産会社

 

保証金なし、家賃の前払いで寮を紹介

 
三浦 せっかく日本へ来たのに、いきなり大変な目に遭いましたね。
 
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鈴木社長を支える、李柏儒取締役
 ええ。それで、鈴木が不動産の会社を起業する相談を持ちかけてきた時に、自分と同じ思いをするような留学生が出ないように、住み心地のいい学生寮を運営したいと思ったんです。学生寮を運営すれば、彼らが寮を出た後も、すぐに弊社が次の留学生を見つけて物件を常に満室状態にできます。台湾人が集まる場所で住めるので新しく入居する留学生も安心ですし、空室が出て悩んでいた日本人オーナー様からも、好評をいただいております。
 
三浦 なるほど。それにしても、鈴木社長がシングルマザーになっても日本で頑張り通したのはすごいですね。
 
鈴木 私が子供を生んだのは日本です。日本でシングルマザーになったのだから、ここでしっかり育てながら生活していきたい。どんなことでも、最後までその場で取り組みたいという責任感があったからですね。
 
三浦 そうなんですか。ぼくはヴィッセル神戸でキャプテンを務めた2005年シーズンに、チームがJ2に降格してしまったことがあるんです。ぼく自身は、J1のチームからたくさんオファーをもらいました。でも、降格はキャプテンのぼくの責任でもあるし、個人的な都合で移籍するとは言えません。それにチームメイトと一緒に1年でJ1に戻りたい。その思いで、誰よりも先に残留を発表したんです。結果、他の選手もチームに残ってくれて、見事に1年で復帰できました。
 あれは、ぼく自身の責任感から出た行動だったと思うんです。責任感がなかったらきっと、会社経営はできないですよね。鈴木社長の仕事は日本と台湾の言葉や習慣の違いなどもあり、強い責任感が求められると思いますし。
 
鈴木 おっしゃる通りだと思います。不動産売買の仲介に関しては、一棟全てが留学生のシェアハウスになる物件もありますし、先ほど申し上げたように、日本人の方が中心に入居される物件もあります。その辺は、委託を受ける前にオーナー様からきちんとヒアリングをして、要望に沿った管理を進めているんです。また、台湾にいるオーナー様の代わりに、税金の申告や入居者の募集などを代行するといった工夫もしています。ですから、よくある不動産会社のように、成約したらそれで終わりではありません。
 
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三浦 むしろ、成約してからがスタートというわけですね。
 
李 留学生への寮の紹介も、保証人なしで契約できる仕組みにしています。外国人が日本で保証人を探すのは難しいですからね。その代わり、誰でも契約できるわけでなく、身元のしっかりした方に、3ヶ月から半年ぶんの家賃を前払いしてもらう形で入居していただいています。あと、入寮する学生には日本で暮らすためのオリエンテーションを行っていますので、日本人のオーナーさんも、安心して当社に管理委託をしていただいてるんですよ。
 
三浦 普通の不動産会社では、とてもそこまでできませんよね。異なる国の間を仲介するわけですから、より大きな責任を求められる。だからこそ、入居の条件を緩和するところ、締めるところを明確にしつつ、入居者さんに配慮したサービスを提供している。素晴らしいです。