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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

手抜きなしのプロ魂
リアルな立体造形士

 

一切手抜きをしないプロ魂

 
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『JIN-仁-』より、野風の万華鏡(上)と遠心分離機(下)
長澤 参考になります。ちなみに、2次元から3次元にされる神保社長のお仕事では、どんな時が難しいですか?
 
神保 図面がおかしい時かな(笑)。平面の資料から3Dに変換するのは頭の中でほとんど完結させられますから、側面図を見ていて 「この面とこの面が立体として繋がらない」 というケースがあるんです。図面上は矛盾する。でも、それでもつくります。
 
長澤 それはつまり、神保社長の想像で補ってしまうわけですね。
 
神保 そうですね(笑)。手描きのイラストなどは、前から見た姿と横から見た姿から立体模型にしようとすると矛盾するなんてことはザラにあります。でも全体的には、難度の高いテクニックもあるにはありますが、構えないで取り組めば自然にできるようになると思いますよ。漫画のキャラで、資料がなくてたった1枚の前からの絵から背面までイメージして立体を造形したこともありましたね。今は3DのCG画像があることもありますので、その点は昔よりも楽かな。
 
長澤 特殊技術なような、そうでもないような・・・。でも、やっぱりすごいですよ。今までで一番大変だったのは?
 
神保 テレビの仕事では、特撮もので通常の準備時間が3ヶ月のところ、1ヶ月半しかなかった案件が辛かったですね。徹夜続きで寝る暇もありませんでした。
 映像以外では、CGが使えない時代に銀行のポスター用にジオラマをつくった案件が印象に残っています。スチール撮影だから一切ごまかしが利かない。事前にカメラマンに当日使うレンズを教えてもらい、自分たちで機材を用意して、そのレンズに近い写りのレンズをのぞきながらパースを決めて、小物や背景をつくりました。非常に細かい作業でしたが、楽しかったです。
 
長澤 気が遠くなりそう(笑)。でも、「中途半端はしたくない」 というプロ根性を感じます。
 
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神保 クオリティで他社に負けたくないし、期待を上回る仕事を心がけていますから。制作費との兼ね合いもありますが、見た目の完成度は落としたくない。予算が足りない場合は、予定していた素材を変えるなどの工夫をします。手抜きはしたくないですから。
 
長澤 素敵ですね。女優としても共感します。そうやって頑張るから、「次もこの人に!」 となってお仕事につながるんですもんね。今後については、どんな抱負をお持ちですか。
 
神保 映像関係では、番組など露出先のイメージやトーンを尊重しつつ、セットや小道具の出来栄えで視聴者を感動させていきたいです。また、最近は減っていますが、ミニチュアの仕事は誰の目にも違いがはっきりわかり、やりがいもあって気合が入りますので、ミニチュア造形の仕事をもっとたくさん手がけたいですね。とにかく、どんな案件も楽しんで取り組みたい。この仕事が好きだという気持ちを忘れずに、ね。
 
 
 
 :: 会社概要 :: 
   ■ 社名 有限会社ハルジン
 ■ 本社 〒350-1316 埼玉県狭山市南入曽962-3
 ■ 事業内容 立体・特殊・美術造形/展示用・撮影用・販促用模型などの小道具・イベント用模型の製作
 ■ 設立 平成17年10月
 ■ 従業員数 2名
 ■ 主な取引先 TBSテレビ/株式会社NHKアート/株式会社ラブテック 他
 ■ ホームページ http://www.haljinn-ltd.co.jp