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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

 
プロフィール 山梨県出身。大学卒業後、教育関係の出版社に就職。その後は編集プロダクション、学習塾の塾長など、教育関係にて広告宣伝、編集、マネジメントなどを経験し、2010年4月、中学時代の同級生とその知人とともにVECTOR(株)を設立。介護用品の企画開発・販売、商・工業デザインの企画、介護業界の人材育成などを手がけている。「NPO法人かながわ女性会議」副代表でもある。
 
 
 
介護現場におけるヘルパーの負担を少しでも軽減したい。そんな想いを胸に日々商品開発に取り組んでいるVECTOR株式会社の小山久枝社長。50歳を過ぎてから会社を立ち上げ、いたずらに売上げを伸ばして儲けるよりも世の中に貢献する社会的使命に向けて事業運営を行っている。毎日精力的に活動する小山氏に、起業に至るまでの経緯、自らの仕事観、事業展望などについてうかがった。
 
 
 

“持ち上げない介護” を実現させる
移乗用「らくらくボード」

 
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インタビュアー 五十嵐めぐみ (女優)
五十嵐 今日は介護用品の企画開発・販売と工業デザインを中心に展開されているVECTORさんにお邪魔しています。最初に、御社が開発した 「らくらくボード ~持ち上げない介護のために」 という商品からご紹介ください。
 
小山 「移乗用ボード」 という介護用品をご存知ですか?介護施設などで要介護者を車いすからベッド、またはベッドからベッドなどに移し乗せるときに使うものです。たとえば車いすとベッドの間にボードを渡して、その上を滑らせるようにして利用者を移動させます。身体を持ち上げなくてよいので、ヘルパーの負担を軽減させることができます。
 
五十嵐 かわいくて洗練されたデザインで、介護用品のイメージが変わりそうです。話に聞くところでは、介護の現場というのは、実は大変な重労働なのだそうですね。
 
小山 そうなんです。ですから北欧やオーストラリアなどでは、介護者の保護を目的に、国ごとにたとえば 「20kg以上のものを持ち上げてはいけない」 と定められていて、補助器具等を積極的に利用しています。ところが、日本ではまだまだ介護者の腕力に頼っている現場が多いんです。そのため、ヘルパーが腰や腕を痛めてしまい、仕事を辞めざるを得ない例がたくさんあります。最近は、年配者よりも若い男性の力が弱くなっていて(笑)、介護の仕事が長続きしない原因にもなっています。
 
五十嵐 そういった面では、日本はとても遅れているということですね。
 
小山 そうなんです。その点を 「らくらくボード」 によって変えていきたいですし、もっと介護用品の利用が進むよう、世の中を啓蒙していくことも大切だと考えています。
 
‐らくらくボード使用例‐ 
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1.軽く体を支えてあげて

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2.ボードの上をスル~っと滑らせて移動

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3.移動できたらボードを抜いて完了。する側にもされる側にもやさしい介護が実現しました。