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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

住みよい空間作りを
大切にする設計事務所

 
 

建築士業界を盛り上げる活動

 
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五十嵐 並木所長は、建築士の業界を盛り上げていこうという活動をされているそうですね。
 
並木 もう3年になりますが、建築士をはじめ大工さん、家具職人さん、不動産屋さん、建築科の学生など20名ほどが集まって、「八王子学園都市センター」 で毎月1回の勉強会を重ねています。
 建築士の仕事って、営業がないんです。人のつながりこそが営業なんです。しかし若い頃はつながりなんてありません。私も独立して間もなくはほとんど仕事がなく、2年くらいはどんどん貯金が減っていく生活でした。ですから、今の若い人たちには人の輪を広げてもらい、つながりを増やさせてあげたいと考えているのです。
 
五十嵐 勉強会は、具体的に、どんな会なんですか?
 
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並木 各回ごとにテーマを決めて、フリーセッションで話をしています。基本的に誰でも参加できますし、暇なときに来てくれればいいという場です。仲間とお酒が飲みたくて来る人もいますよ(笑)。こういうつながりが、5年後、10年後に仕事になり、いい家を作るという成果になるのです。
 
五十嵐 メンバーに学生まで含めているのが面白いですね。
 
並木 学生の反応が一番面白いですね。初めて聞く用語で分からないことはどんどん質問してくれるから、こちらも説明しているうちに面白くなっていくんですよ。
 それともう一つ、若い人たちに向けては、私のこの事務所も、アトリエ的に使ってもらえるように開放しています。コーヒーを飲みながら建築談義に花を咲かせるも良し。図面を持ち込んで仕事に没頭してもらうも良し。自由に活用してもらえたら嬉しいですね。
 

大工の棟梁への憧れに始まり
今は理想の建築家像に向かう途上

 
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五十嵐 さかのぼってお聞きしますが、そもそも並木所長が建築の世界に入ったきっかけは?
 
並木 父への憧れが最初のきっかけです。
 父は大工の棟梁だったのです。当時我が家には、中学を卒業して住み込みで大工の修業に来ている若い職人さんが何人もいて、私は物心がつく頃から彼らと衣食住を共にしていました。のこぎり、カンナ、差し金の使い方は自然に身に付きましたし、棟梁として職人としての父の姿を見るうちに、いつしか、何の疑いもなく「大工になりたい」と思っていました。高校生の時には、絵図版(板図)の描き方をマスターしていました。