さて、問題です。
 この国はどこでしょう?
  
  
  
 素朴な疑問です。大陸とか、島とか呼びますよね。で、どれくらいから島で、どれくらいから大陸なんだろう、なんか決まりはあるんだろうか。日本大陸、って、その気になったら言えたりするんだろうか? 本州大陸、とか、九州大陸、伊豆大島大陸とかさ。
 よく日本は島国で統一感ある的な話も聞くけど、そんなこともないような気がするよね、いまだからそう見えるだけで、戦国時代だってそれぞれが「国」だったんだろうし。まして、ヨーロッパなんかはそれこそ王国だらけで、いまこの現代も自国という意識よりむしろ民族へのロイヤリティが強いんじゃないだろうか。
  
  
 日本はともかく大陸って、でっかいんだね、いろいろつながってんだね。
 ご覧の写真は、どこの国だと思いますか?
 これね、実はハンガリーなの。もともとハンガリーは、温泉がある、しかも日本とはまったく違う形態で
 宮殿のような温泉がある、と、小耳に挟んでなんとか入ってみたい ♪ババンババンバンバン~♫ と鼻歌を歌いたい。そう猛烈に思ったのがハンガリー行きの動機ではある。
 実際、その温泉にもいくつか入ってみた。向こうの温泉は医療と結びついていて医者のような人たちもちゃんといて、部屋もあって、日本では湯治のような感覚もあるように思えた。
 青空の下、露天は露天でも、巨大なプールになっていてそこに水着でゆったり浸かる。ぬるい。
 あるいは洞窟みたいな石造りの薄暗いドームに小さな浴槽が連なる。ぬるい。
  
  
 まぁ、それはそれで面白かったのだけど、そうこうするうちに、どうやらハンガリーの東側には
 馬と共に生きる騎馬民族がいて、馬を自在に操る、しかもモンゴル人のような民族衣装を着ているらしい。騎馬民族? 民族衣装? ヨーロッパに? なんかグッときた。
  
 考えてみれば、国や国境みたいな線は何かの都合であり、人の営みや交流はシームレス、
 境界線なんてないもんね。ヨーロッパと言えばなんか洗練された貴族のイメージだった。パンがないならケーキを食べればいいのに、的な。
  
  
 馬と暮らす白人のモンゴルみたいな着物の衣装、というギャップにたまらなく好奇心を刺激されて、レンタカーを調達してまた独りで東へ走らせた。
 広大な草原の中に、彼らはいた。馬を撫でながら座らせたり、横に寝せたり。
 え? ほのぼのだ。ハッキリ言って迫力がない。そして、面白くない(笑)。
 そんな状況で、真打ちの登場だ。遙か草原の彼方から、左右2頭の馬に立って、駆け寄ってきた。おや? 変だぞ。時々止まったり、馬が左右に離れていって男性の股裂きだ。おおっ! 必死だ。馬は友達で思いのまま・・・ではなかったのか?
 ガイドの女性が僕に笑いながら説明をしてくれた。風があまりにも強くて、馬が怖がってる、だからいつもはもっとうまくいくのよ、と。僕も笑った。逆に面白いじゃん。そもそも、立って乗る必要がどこにあるんだ? おれ、こんなことできんだぜ、みたいな
 男子の自慢合戦に近いのだろうか。
  
 *
  
 それにしても、やっぱり思うんだ。
 国境のヒステリックな厳密さを笑い飛ばすような現実。
 ユーラシア大陸のように広大で多種多様な国や民族が遙か昔から強烈に入り乱れ、
 東と西の文化や生活様式がせめぎあい影響し合って、
 ほんとにユニークで興味を惹かれる新しい様式がそこにある。
 2頭の馬に立って乗る、というちょっとバカバカしいような、あるいは子供っぽいキャッチーなビジュアル。突飛でチャーミングなものに、人はやっぱり惹かれるのではないだろうか。
  
 少なくても、僕はそうだ。それだけのために、僕は、遙々そこにいた。
  
  
  
  
 【今回のキーワード】
 ▼
 混ぜ合わせる、足し算する
 すてきな違和感が生まれる。
  
  
  
  
   執筆者プロフィール 
 永澤仁 Hitoshi Nagasawa
 クリエイティブディレクター/run!run!! planning!!! 海の家 店主
  
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  経 歴  
 セブン-イレブン(忌野清志郎さんが歌うブランドの根幹を担う「近くて便利」コミュニーケーション)、バイク王(雨上がり決死隊バージョン)、キリン氷結(発売から6年間)、シチズン(広告&商品開発)など数々のクリエイティブを責任者として手がけ、そのすべてをジャンプアップさせた実績を持つ。競合プレゼンでは独創的なスタイルで3年半無敗を記録。受賞歴は国内外100以上。強い、正しい、面白い! 国も地域も企業も商品もお店も人も、めざすゆたかな高みへ。
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 (2015.4.22)