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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

楽しいことだけ、猛烈にやれ!
日本一の応援団長の熱きメッセージ

 

ストレートに行け!しぶとく粘れ!
猛烈エネルギーは国の流れまで変える!

 
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 外国の人たちを説得するんだから、あんまりごちょごちょ言いませんでした。通訳だって完璧じゃありませんし、外国の人に気持ちを伝える時は、ごちょごちょ言ったって通じないことが多いんですよ。英語で話すときと同じ文体。「私はあなたが好きだ。なぜなら~~」と、結論から言わないと。日本語みたいに「~~で、だからあなたが好きだ」と最後に結論を言うのでは駄目なんです。
 私は社員にも「結論から先に言って」と言っています。前置きが長いと、余計な時間がかかるんですよ。交渉事もそう。ましてや我々資本主義の国と社会主義の国は、発想も、脳みその回路も全然違うんです。ましてやインド人とそのまま交渉したら負けますよ。日本人は「水に流す」とか「竹を割ったような性格」という諦めの美学がありますが、インドの人たちにしたらそんなの、駄目オトコの考え方です。彼らは「水になんか流してどうすんだ。もっとしつこく粘れ!」っていう教育をされているんです。それが正しいオトコの生き方なんです。それに、数字の0を発見した民族ですから、相当しぶとい。そんな人たちと渡り合うには、とにかく本音で、分かりやすく、ストレートに思いをぶつける。これが一番強いですよね。
 
 
――「ハロー!!ロシア」の際の協賛金集めのエピソードがご著書『熱き心』(PHP新書)に書かれています。そのとき企業に宛てた手紙も、かなりストレートだったようですね。
 
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1993年の「ハロー!!ロシア」。
モスクワ・赤の広場に12万人を動員。
 「ハロー!!ロシア」で一番辛かったのはお金集めなんです。私はそのとき48歳。パリ・コレクションやニューヨーク・コレクションへの出品を続けてきて、お金に関しては完全に出費側の人間でした。収入側のことに携わった経験がないんですね。会社は持っていましたが、民間会社が単独でやりたいと手を挙げたら「何を寝ぼけとるか」と笑われるぐらいの大事業ですから、個人で協賛を集めてやるしかない。だから、まずその決意を固めました。
 お金集めは生まれて初めてのことですから、どういう企業にどう行けば協賛が集められるか、全然分かりません。考えたのは、新聞に大きな広告を出している企業にお願いしようと。そういう企業はお金に余裕があるでしょうから。それと、手紙でお願いしようと。紹介なしでお願いに上るには、手紙を届けるのが近道でしょう。
 問題はね、社長宛の手紙なんてごまんとあるわけです。その中から、秘書課の選考を勝ち抜いて、社長の机まで辿りつかなきゃいけない。そのためには、強烈インパクトのある手紙じゃないと駄目なんです。
 だから画用紙とカラーペンを使いました。カラーペンの直筆で一通あたり画用紙を十数枚、それで世界に一通だけの特別の手紙にするわけです。それだけじゃ足りません。相手は年間の商い高が5000億から1兆円を超すような企業の社長ですから、相当の修羅場をくぐってきた人たちです。その心を揺り動かすには、見た瞬間に、グワーッ!と、猛烈エネルギーを伝えられるようでないと。
 そのためにね、相手のことを予習して、夜寝ても夢に出てくるくらいその人のことを考えて、朝散歩するときも一生懸命文章を考えて、猛烈な下準備をしてエイヤッ!!と書くんです。一通書くのにだいたい1時間半、それを午前中に三通書き上げて、午後からは事務所で普段の仕事です。それを一年半、365日年中無休で続けたんだから・・・。まあ、大変なエネルギーですよ。
 そのエネルギーを保つために、生活を根本から変えました。夜は9時に寝て、朝は5時に起きて、できるだけ深い呼吸をしながら公園を散歩して、脳に酸素を送り込んで、自分で朝食を作って食べるんです。これは今も続けています。この生活をしているとね、前の晩に辛い状況で気分が落ち込んでいても、前向きに考えられるようになるんです。
 
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 これまでいろんな国でSUPER SHOWを実現してきましたけれども、選ぶ基準は「よく知らない国」「これから仲良くなるべき国」です。たとえばベトナムのときは、あの軍事大国のアメリカを追い出した国の人たちはどういう人たちか知りたいと思って行きました。「ハロー!!ロシア」のときは、ロシアに応援歌を届けて、ショウの後に一人でパリに入ったら、ショウの様子がテレビで放映されていて。そうするとね、ヨーロッパの人たちは、「ロシアもここまで来たか」と思うわけですよ。それから11年たってロシアに行ったら、そこらじゅう寿司屋だらけ(笑)。 ものすごく経済が発展してるんです。ベトナムのときも、インドのときもそうでした。ショウの様子を世界が見て、各国の投資が流れ込んだんですね。
 考えてみますと、世界に私と同じくらいのファッションの才能を持つデザイナーは何人もいるとして、自分でお金を集めてきてショウをやって、国の流れを変えちゃうイベントプロデューサーはいないんじゃないでしょうか。だから、これは貴重な活動だと思って、命ある限り続けるつもりです。
 
 

一緒に思いきり楽しもう!
目標にむかって夢を見よう!

 
――国の流れを変えるほどの大きなお仕事ができるのは、寛斎さんには並外れた“巻き込み力”があるのではないでしょうか。B-plusの読者のメインは日本の経済を担う世代のビジネスパーソンです。“巻き込み力”の秘密は、読者もぜひ聞きたいのではないかと。
 

 そこは大事な部分ですよね。私が今までやってきたことは、入ったものは全部使って、楽しい時間を創ることです。「こんな楽しい時間、お互いに体験ないじゃん。一緒に思い切り楽しもうよ!」っていう気持ちでやってきたからこそ、いろんな人を巻き込めたんでしょう。同じように、「世のため、人のため」という純な気持ちが先にあって、かつ数字も付いてくる仕事は世の中にたくさんあるはずです。私はそう考えてます。

 
 
 
 

 

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