
インタビュアー 今岡真訪(野球解説者)
丸橋 1949年、父を含めた三兄弟が奈良からこの地へ出てきて、現在の弊社の基礎である、小さな工房を立ち上げました。最盛期は、グラブを生産しアメリカへの輸出を行っておりましたが、ドルショック、オイルショックを経て、国内のOEM生産へと事業の形を変えていったのです。現在は、少子化や競技の選択肢の多様化が進み、日本の野球人口の減少という、概況および時代の大きな変化に直面しています。在庫を持たない方針のメーカー様も増え、工場の存続を脅かす要因の一つにもなっています。そこで、「どうしたら会社のファンを増やせるか」「どのようにしたら職人たちのモチベーションを上げていけるのか」という難課題について私なりに考え、その結果として、お客様と職人が直接対話できる環境づくりこそが必要だと感じました。それが自社ブランド立ち上げの大きなきっかけになりました。

丸橋 ありがとうございます。弊社では、そうしたオーダーメイドグラブの依頼を承っています。弊社に依頼をくださったお客様は、直接工場に来て職人と対話をしながらグラブを一緒につくり上げていくことができます。OEMが中心だった頃は、お客様と職人の間にワンクッション挟んでいたため、どうしても要望が伝わるまで時間がかかりました。今は直接お客様の要望をうかがえるので、一緒につくっていく楽しみもあり、職人にとっても大きな刺激となっています。