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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

対話と技術で患者を支え 未来に挑む歯科技工士
株式会社Brains 代表取締役社長 和田幸之輔

 
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インタビュアー 宍戸開(俳優)
宍戸 本日は、静岡県富士市の歯科技工所・株式会社Brains(ブレインズ)の和田社長にお話をうかがいます。まず、整然としたラボの雰囲気に圧倒されました。歯科技工所と聞いて、物の多い研究所をイメージしていたので驚きました。和田社長がこの道に入られたきっかけからお聞かせいただけますか?
 
和田 地元の専門学校で歯科技工士としての基礎を学んだ後、セラミック技術を本格的に学ぶため上京し、専門のトレーニングセンターで腕を磨きました。そこで出会ったインストラクターの方に師事し、7年間、徹底的に技術と向き合ったんです。
 
宍戸 7年もの間、一つの技術と向き合われたのはすごいですね。そこまで和田社長を惹きつけた、セラミックならではの奥深さとは何だったのでしょう。
 
和田 天然の歯が持つ、あの複雑なフォルムやわずかな凹凸に魅力を感じ、この手で同じものを再現したいと強い憧れが生まれました。もちろん、簡単にはできません。試行錯誤を繰り返した結果、「これだ」と思えるものができたときの喜びは何にも代えがたく、この道へ進むきっかけとなりました。
 
宍戸 なるほど。修業時代に培われた、ものづくりへの情熱が原点なのですね。
 
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和田 師匠から一貫して叩き込まれたのが、単に歯の形をつくるのではなく「技工物を通じて、患者さんの治療を支える」という意識でした。その思いを胸に、25歳で師匠と共に会社を設立し、27歳の時に代表として地元である静岡に戻ってきました。
 
宍戸 「治療を支える」という思いと、セラミックへのこだわり、それがこのラボの静かな熱気や、みなさんの真剣な眼差しの源になっているんですね。ただ、以前歯科にかかった際、今や技工の世界はCAD/CAMで設計して3Dプリンターで出力するという、データ主導のつくり方が一般的だと聞いたことがあります。
 
和田 おっしゃる通り、私たちのスタイルは珍しいかもしれません。ですが、私はあえてクリニックに足を運び、直接お会いすることを大切にしています。