水野　ご自身が育ってきた環境や、お子さんたちの成長を見守ってきた経験も活きていると。学生たちの目線に立つ一方、大手企業で人事を担当なさっていた経験から、企業側が求める人材がどのようなものかを熟知しておられるのも大きな強みではないかと思います。
 
片岡　そうですね。その会社や業界になんとなく興味があるという漠然とした理由だけでは、就職したとしても長続きしないでしょう。もちろん、続かなければ転職するのも一つの選択肢です。ただ、その企業に就職する目的は最初から明確にしておくべきだと思います。例えば、キャリアアップを目指しての独立や転職を前提に、まずはその会社でスキルを高めるというように、目的が明確であればその社員は一生懸命、就職先の仕事に取り組めると思います。それは企業側にとってもメリットだと思うんですよ。企業は社員育成のコストを考え、すぐに転職してしまう人材を敬遠しがちです。でも、働き方や価値観が多様化した今の時代では、むしろ企業が転職を推奨するくらいのほうが良い人材が集まりやすいでしょうし、社員に理解を示して寄り添う社風であれば、社員も長く勤務する可能性も高いのではないでしょうか。
 
水野　確かに、目的がはっきりしていないと社員も仕事を続けるモチベーションがわかないでしょう。それに、社員を縛りつけようとするような古い体制の企業では、人材にも恵まれないでしょうね。