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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

地域に愛される味を守り
革新を目指す和菓子職人

 

伝統と革新の和菓子づくり

 
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畑山 素材選びのエピソードだけでも、新澤社長の和菓子づくりへの情熱がよくわかりました。さらに製菓のプロセスにも、こだわりや工夫がたくさんあるのでしょうね。
 
新澤 そうですね。あんこをつくるにしても、大きく分けて関西と関東では味の好みが異なりますからね。私は最初に関東で修業をスタートしたこともあり、そのままの製法だと、最初は関西ではなかなか受け入れられませんでした。その後、関西好みに近づけるべくアレンジを続けるうちに、次第にご支持をいただけるようになったんです。
 
畑山 創意工夫をしながら、自分流を追求してきたわけですね。
 
新澤 私は製菓学校に行っていませんし、修業も短期間だったため、良くも悪くも基本がなく、逆にそれが持ち味になっている部分もあると思います。ただ、父が残してくれた「若江城もなか」などの菓子は白穂の歴史でもあり、弊社の代表銘菓の一つです。レシピが残っていなかったので、母の味見を頼りに、現代の味付けにアレンジしました。ぜひご賞味ください。
 
多彩な和菓子がそろい、地域から愛される菓匠庵白穂 多彩な和菓子がそろい、地域から愛される菓匠庵白穂
多彩な和菓子がそろい、地域から愛される菓匠庵白穂
畑山 おいしい! サクサクの皮に、手づくりの上品な甘さの自家製あんがよく合いますね。
 
新澤 ありがとうございます。昔の和菓子と比較すると、現代は糖分控えめが好まれる傾向ですからね。こちらの「白穂焼」は2008年に店舗を移動させた際、私の代表作となる菓子をつくりたいという思いから生まれたこともあり、店舗名をもじって命名しました。こちらもお試しください。
 
畑山 薄皮一枚でサンドされたどら焼きといった感じで、皮のしっとり感と小豆の風味が絶妙なバランスですよ。何個でも食べてしまいそうだな。
 
新澤 畑山さんにそう言ってもらえると嬉しいです。また、これまで手土産事業としての和菓子を開発してきたものの、普段使いの菓子にも注目し、2010年頃から「あんどーなつ」も販売を始めました。最初は反響が薄かったものの、味には自信があったので販売を続けましてね。その甲斐あってメディアで取り上げられるなど話題になり、今は毎日1500個くらい店頭で売れる人気商品です。
 
畑山 これもいただいてみると、想像以上に軽い食べ心地で、簡単に平らげちゃいますよ。