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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

建築工事には欠かせない
墨出し・建築測量のプロ

 

ガイドラインによって他業種の職人を導く

 
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宮地 墨出し工事が建物を建てるためにいかに重要なお仕事なのかがよくわかりました。その中で、保坂社長が大切になさっていることもぜひ教えてください。
 
保坂 なんと言っても、正確性と安全性ですね。先ほどのお話にもあったように、私たちが引いたガイドラインが少しでもずれてしまったら、建物全体が斜めに傾いてしまう。だからこそ、墨出し工事は決してミスのできない仕事だと思います。そこで、どうすればミスをしないようにできるのか、そしてどうすればより精度を高められるのか、常日頃から考えるようにしているんですよ。
 
宮地 日頃から精度の高い作業を行えるよう、努力を積み重ねておられると。
 
保坂 ええ。もともと地震などの災害の多い日本において、建物の精度や安全性は建築基準法などに基づく細かい規定よって、厳しく定められています。ただ、それは制度で決められているからだけではなく、日本人の古来からの美意識による理由もあるのではないでしょうか。例えば、海外に行ったときに泊まったホテルでも、あまり丁寧な仕上がりになっていないことがよくあります。いくら外観や内装などのデザインが素晴らしくても、建物全体の精度が高くなければ、良い建物とは言えないと思うんですよ。
 
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宮地 それが保坂社長の、墨出し職人さんとしてのこだわりなわけですね!
 
保坂 そうですね。私たちの仕事は、ほかの職人さんの仕事のように、施工箇所が目に見えてわかるわけではありません。墨出しで引いた線は、ほとんどの場合、床や壁紙などで隠れてしまいますからね。でも、ほかの職人さんたちが、我々が引いたガイドラインを信頼して良い仕事をしてくれる。その結果、工事に携わった全員で良い建物ができたとなれば、それほど嬉しいことはありませんし、やりがいにもなるんです。
 
宮地 現場にガイドラインを引くことで、ほかの職人さんたちを導く役割ももっていらっしゃるわけですよね。やはり、設計図だけではわからないこともあるのではないですか?
 
保坂 おっしゃる通りです。建築士さんがどれだけ建物を緻密に設計したとしても、その土地の細かな傾斜や自然環境など、実際に現地に行ってみなければわからないことが多々あります。それらを考慮したうえで、いかに高精度の墨出しができるかがポイントになりますね。