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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

建築工事には欠かせない
墨出し・建築測量のプロ

 

高度な精密さが求められる重要な仕事

 
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宮地 それでは、墨出し工事とはどのようなお仕事なのか、あらためて教えてください。
 
保坂 墨出しとは、簡単に言えば建築工事を行ううえでのガイドラインを設定する仕事です。もともとは、いわゆる昔ながらの大工さんが家を建てる際、材木を切ったり、正確な位置に柱を立てたりするために、墨壺という道具を使って墨で線を引く作業を墨付けと呼んでいました。現在では、墨出しという言い方が一般的になっていますね。実は、古代エジプトでピラミッドをつくる際にも、ほぼ同じ技術が使われていた記録が残っているほど、古くからあるものなんです。
 
宮地 えーっ、すごい! そんなに古い時代からすでにあったんですか。
 
保坂 ええ。現在でも、そのような伝統的な手法で墨出しを行う場合もあるものの、近年では道路工事などで使われるような測量機器を用いるのが主流となっています。そのため、建築測量とも呼ばれるんですよ。
 
宮地 測量というと、道路の脇でカメラの三脚のようなものを立てて作業している方をよく見かけます。
 
保坂 まさに、おっしゃる通りです。私たちもあの測量機器を使って、しっかりと水平や垂直が保たれているか確認したり、設計図通りの正確な位置に壁や柱を配置できるようにガイドラインを設定したりしています。そして、大工やとび職、鉄筋工事業者や内装工事業者といった建築工事に携わるほかの業種の方々が、それに従って各々の仕事を行っているんです。
 
宮地 ということは、もしもその測量が間違っていたら、建物が傾いてしまうことにもなりかねないわけですか。建築工事を行ううえで、絶対に欠かすことのできない非常に重要なお仕事ですね!
 
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保坂 そうなんですよ。例えば映画を撮影する際にも、照明の当たり具合や画面に映る背景なども考慮に入れたうえで、俳優さんの立ち位置を決めますよね。私たちの仕事も同じく、緻密な計算のもとに、ミリ単位かそれ以上の精度の高い作業が求められます。
 
宮地 墨出しという一つの仕事がほかの職人さんたちの仕事にも影響を及ぼすとなると、大きな責任も伴いますよね。確かに、映画や演劇などでも見せ方は計算にいれるものの、たとえ役者の立ち位置が1mmずれていたとしても、それで全体に支障をきたすことはほとんどありません(笑)。ですから、その大きな責任のもとで取り組んでおられる姿勢は、本当に尊敬しますよ。