結婚を機に気を引き締めて仕事を始めた

インタビュアー 吉井怜(女優)
並木 私は15歳のときに高校を中退し、左官の親方だった父のもとで修業を始めました。もともと中学生の頃から夏休みや冬休みになると現場を手伝い、小遣いを稼いでいたので自然な成り行きだったんです。ただ、どうしても左官職人になりたいわけではありませんでした。そのため、数年間は遊ぶために仕事をしているような状態で・・・。技術を覚える気がなく、まったく努力もしていなかったんです。当時の自分を振り返ると今も後悔の念が湧き上がります。
吉井 しかし、いずれは人生の転機が訪れますよね。
並木 ええ。リーマンショック直後のことです。ある日、現場に行くと元請けの会社が倒産していました。父はその元請けの専属として働いていたので、完全に仕事がなくなり、職人もどんどん離れていったんです。当時父が背負った借金は、私が20歳のときに完済しました。そうして結婚に踏み切ったんです。そのとき「自分は外の世界では通用しない。このままでは家族を養えない」と実感しました。私が、気を引き締めて仕事をするようになったのはそれからです。