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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

救急救命士たちが走る!
県境を越える民間救急車

 

他府県をまたいで搬送できる利便性

 
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様々な設備を備えた、大南の所有する民間救急車
城 緊急事態には対応しないが応急処置ができる設備を搭載しているから、民間の「救急車」なんですね。主に、どのような方が利用しているのでしょう?
 
高木 3ヶ月単位の転院を余儀なくされた方や、急性期の病院から転院せざるを得なくなった入院患者の方が多いですね。基本的に病院に常駐する移動手配の相談員が予約を入れますが、一度ご利用になると、次回から個人で予約されるケースがほとんどです。
 
城 それは、大南さんが利用者の方から信頼されている証ですよね。
 
藤城 ただ、転院以外のケースでは需要が少なく、利用者様以外にはあまり認知されていないのが現状でして。本来は、転院に限らず入退院や通院でもご利用いただけますし、お体に不安がある方の新幹線・航空機の送り迎えや冠婚葬祭出席、ご旅行などにも当社は対応できるんです。
 
城 そんなに幅広い利用が可能なんですか! たとえば、サッカーのプレイ中に骨折して緊急搬送するほどでない場合も利用できますか?
 
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東京消防庁でキャリアを積んだ藤城英昭さん
藤城 まさにそうした場合のための民間救急車なので、ぜひ利用していただきたいです。
 
高木 月に1~2回の頻度で長距離のご依頼もあり、北は山形県、西は山口県まで出動したこともありますよ。上京された方が病気や怪我をし、地元の病院で診てもらいたくても電車や飛行機に乗れないパターンがあります。公的な救急車は基本的に他府県をまたいで搬送できません。でも民間救急の当社なら、東京都から他府県への搬送が可能です。
 
 なるほど。公的な救急車が管轄外のことでも、対応できる点が民間救急車の特長なんですね。
 
高木 そもそも民間救急車が誕生した背景には、不適切な利用による公的救急車の出動件数増加があります。軽症で救急車を利用する人が後を絶たず、本当の緊急時に間に合う救急車が不足し、救えるはずの命が救えなくなる恐れが出てきました。そこで東京都は、2004年、緊急性の低い患者の搬送に特化した民間救急を案内する、民間救急コールセンターの試験運用に着手。翌年から東京救急協会を発足し、民間救急の本格運用を開始したんです。