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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

会計業務のIT化を推進する
“耳順”の公認会計士

 
 
渡辺 お互いにタイアップできると、税理士事務所としては大きな強みになりますね。また、関西にも関東にも拠点を持つことになりますので、ネットワーク的な機能も発揮でき、支社を持つ顧客先への融通性が高くなります。
 でも、一番のメリットは、お互いに切磋琢磨し合えることです。電子申告とかASP会計システム(インターネット会計)とか、我々の業界には新しい課題が山積みされているのですが、一人ではいつのまにか疎くなってしまうことも、お互いに啓発し合いながら取り組める。これは本当にいいことです。
 電子申告では全国の会計事務所に先駆けて実質100%実施を成し遂げました。今は法人全体として、SAASによるASP会計システムの導入に取り組みつつあり、また従業員の品質管理面で注目している「新書面添付制度」への取り組みをも視野に入れて、新たな支援ツールのソフトをつい最近導入したところです。
 
 
 

顧客企業とグループのIT化に率先して取り組む
 

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石野 IT化の波は、会計の世界にまで押し寄せているのですね。
 
渡辺 はい。そちらに月次決算書の束が積んであるでしょう。一社だけでも大変な量ですから、これが1ヵ月の月次決算の顧客先数十社分となると机の上は膨大な量になってしまいます。ペーパーレス化というのは、私たちだけなく顧客企業にとっても必須の課題なのです。
 書類をデータ化していつでもどこでも取り出せるようにすれば、過去の決算書との照合も容易になりますし、移動時間の多い私も新幹線の中で確認することができます。実に効率的です。法人の決算書についてはすでに10年分くらいは電子化して保存しています。
 
石野 お客様とのやり取りも早くなりますしね。
 
渡辺 その通り。しかし、私共の税理士法人の税務の顧客は中小企業が多いのですが、ことIT化に関しては、やはり大企業との間に歴然とした差がついていたのが実情です。私は、中小企業も事務の効率化に乗り遅れたらいけないということで、「どうせ出納帳に手で書いて記帳するのだから最初からパソコンで打込んで記帳しなさい」と、パソコン1台が40万円くらいしていた平成4年頃から既に、会計ソフトを入れたパソコンを顧客に導入し、会計業務のIT化を促してきました。
 現在では、当社のお客様とはかなりの部分オンラインで財務データをやり取りしていますので、業務がかなり迅速かつ正確にできるようになりました。
 これは同時に、街の会計事務所の世界で言う「自計化」、つまり経理業務を外に丸投げせず自社で行なうことも推進できます。経営者自らが自分で月次決算をすることで経営者の経理に対する考え方がまるで変わってくるんです。
 
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石野 税理士法人優和の組織の中でも、心強い存在であるわけですね。
 
渡辺 大都市ほどIT化は進んでいると勝手に思い込んでいますので、東京に事務所を構える私がグループのIT化を引っ張っていかないと、話にならないですからね(笑)。
 メンバーはお互いに遠くにいるため、普段はオンライン上でTV会議をしますが、そのためのシステムも私が提案し、手配しました。お互いの顔の表情だけでなく、共通の会計データをパソコン画面に出しながら打合せすることができるため、お客様に対してもタイムリーな経営アドバイスをすることができ、当グループの大きな強みになっています。