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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

親しみやすい調剤薬局は
薬、安心、元気を提供する

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 おかげさまで順調です。確かに薬の市場は伸びていますが、薬価や法の改正などがあって、薬局としての伸び率にはあまり影響がないんですが(笑)。
 そもそも、私が調剤薬局をはじめた理由が、少しでも多くの患者さんに“医薬分業”における調剤薬局の存在や、普段飲んでいる薬をより身近なものに感じて頂きたいからなんです。この医薬分業に関する法律が施行されたのが昭和30年代で、本格的に実施されるようになったのは昭和50年代くらいです。病院で医師が発行する処方箋、それを薬局に持っていき、調剤してもらう――。当初は浸透しにくかった仕組みがですが、ここ10年ほどでずいぶんと定着してきたように思いますね。
 
大門 以前は診療を受けた場所で薬をもらえていました。私はかかりつけの総合病院があるのですが、やはり病院のなかで薬をもらえたほうが楽だな・・・と思ってしまいます。国はなぜ、医療機関と薬局を分けたのですか。
 
 簡単に言いますと、医師と薬剤師による“薬のダブルチェック”が可能になるからです。医師も人間ですから、処方箋の記載もれや投薬量のミスもあります。この制度が本格的になったことで、昔にくらべて投薬ミスが防げているはずですよ。さらには、薬の飲み合わせもチェックできます。たとえば、あらゆる薬を飲まなければいけない人に、他の医療機関から新たに薬が出た場合は、飲み合わせを考慮して、私たち薬剤師が医師に処方内容を変更するように打診できます。このように調剤薬局は、あらゆる病院の処方箋に対応できるので、一つの建物に何科もの病院と薬局が存在しなくても、様々な医療機関が一つのチームとして患者様に対応できる点がメリットだと思います。
 

薬剤師としての責任を全うする。

 
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大門 なるほど。1人の医師では、他の医療機関が処方する薬まではカバーできないから、そこに薬剤師さんの存在が必要になってくる・・・。私も循環器系の薬と、アレルギーの薬を服用しています。そう考えると、薬をチェックしてもらえる調剤薬局の存在はとても大きいですね。
 
 そうご理解して頂けると嬉しいですね。ですが、医療機関から調剤薬局に行くことを「二度手間になる」と考える人もいらっしゃいます。私たちは薬局としてさらにサービスを向上させ、さらに医薬分業への理解が得られるようにしていきたいです。もちろん、私たちも薬を扱うことの責任の重さを常に意識して、丁寧で確実な調剤を心掛けています。
 
大門 ところで最近では、一部のドラッグストアでも処方箋を受け付けてくれるそうです。私は古いタイプの人間ですから、やはり薬剤師の先生がいる調剤薬局に足を向けてしまうんですけど。
 
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 処方箋は、基本的にどこの薬局でも調剤できる仕組みになっています。もちろん、ドラッグストアでも薬剤師が常駐していますので問題はありません。1人の薬剤師が処理できる処方箋は1日40枚程度。でも、その40件の調剤を行うには、相当な労力が必要です。例えば、1箇所のドラッグストアの人気店に様々な地域から膨大な数の患者さんが集まってしまったら、薬剤師は処方箋を処理するために機械的に調剤をしなくてはいけません。そうなると、先ほどお話したような薬のチェック機構も働きにくくなる恐れがあります。そこで当薬局では、訪れる患者さんとのコミュニケーションを大切にして、丁寧な対応を心掛けているんです。薬に関して、気になることがあれば、どんどんご相談いただきたいですね。
 
大門 では、先生が店舗を増やしていることにも理由があるのでしょうか?
 
  “調剤薬局をもっと気軽な場所にしたい”という私の想いを広げていきたいんです。健康な状態を取り戻す場所として、薬局が今以上に気軽に通えるイメージになるようにしていきたいですね。ですから、薬を調剤する我々スタッフも親しみやすい存在であっていいと思っていまして。私は、いつも白衣の下はGパン姿ですよ(笑)。
 
大門 強い信念を持ちながらも、自然体。それが薬局全体の雰囲気にも広がるんですね。