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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

食べた後には笑顔がある 幸せのだし巻き!
だしまき庵 料理長 藤田裕之

 
プロフィール 大阪府出身。2004年に住之江区で宅配弁当店を創業し、事故による長期入院や新型コロナの影響など幾多の逆境を乗り越えて堺で再始動。看板商品のだし巻きは口コミで評判を呼び、多くのファンを獲得する。厳選した米や上質な油を用いた豊富なメニューを揃えながら、“冷めてもおいしい”弁当づくりを誠実に追求し続けている。
 
 
 
大阪・堺にある「だしまき庵」の藤田裕之料理長が誇る看板のだし巻きは、口に運んだ瞬間に広がる出汁の香りと、口の中でほどける卵の甘みが絶妙な一品だ。冷めてもおいしい米を厳選し、揚げ物には上質な油を使うなど、素材の一つひとつに細やかな配慮が込められている。誠実な手仕事でこしらえる“普段着のごちそう”に、ロケの神様ことタージンさんが人気の理由に迫った。
 
 
 

事故からの再起、堺での新たな挑戦

 
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インタビュアー タージン(タレント)
タージン 私はだし巻きが大好物で本日は楽しみにしてきました! 多くの方に親しまれ、幅広い世代から支持を集めている「だしまき庵」の藤田料理長。まずはこれまでのお店の歩みについてうかがいましょう。
 
藤田 2004年に大阪市住之江区で開業しました。お客様にめぐまれて店は順調でしたが、弁当の配達中に無免許のバイクに横から追突されて膝下を粉砕骨折し、長期入院を余儀なくされました。退院後は売り上げが半減し、厳しい状況が続いたため、堺への移転を決断したんです。
 
タージン 順調に歩みを進めていた矢先に、それは大変な出来事でしたね。しかしその逆境を糧に、新たな土地で挑戦を選ばれた藤田代表の前向きな姿勢には、困難を乗り越えようとする強い意志と覚悟を感じます。
 
藤田 移転後は事故のリスクを避けるためにテイクアウト専門で営業したいという気持ちもありましたが、立地的に配達が必要不可欠でした。今では、さまざまなお客様に支えられてこの街で根を張れたことに感謝しています。
 
タージン お弁当ではだし巻きはどちらかといえば脇役という印象です。そのだし巻きをなぜ看板商品に選ばれたのか? その理由が気になります。
 
藤田 当時、この辺りでお弁当にだし巻きを入れるお店はほとんどありませんでした。卵はとても扱いが難しく、管理に手間がかかる食材なんです。さらに出汁をたっぷり使うと巻きにくく、水分も出やすいので技術を要します。それでも「自分ならきっとおいしいだし巻きをつくれる」という強い信念を持って、看板商品として掲げることを決めました。