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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

弱さを持ち寄り
垣根を越えてつながる

 

ここにいてもいいと実感できる第三の居場所

 
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狩野 お二人が出会われてから、会社を立ち上げるまでの経緯が気になります。ぜひ詳しく教えてください。
 
下郡(竜) 弊社を設立するまで、私たちは同じ社会福祉法人に勤めていました。ただ、前職では、法人の方針や社会福祉法人ならではの膨大な事務処理もあり、自分たちが本当にやりたいことができていなかったんです。
 
下郡(知) 私は事業所の管理者を務めており人員が足りない中、オーバーワークで倒れましてね。そのとき多くの後輩たちと夫が立ち上がってくれて、「本当にやりたいことをやろう」と話が進んでいきました。そして、社会福祉法人から提案をいただき事業を引き継ぎました。これまで一緒に活動してきたメンバーさんは一人残らず利用を継続することを決めてくれて、新たなスタートが切れたんです。
 
狩野 メンバーさんやご家族にとって、スタッフさんも場所も変わらずにいてくれるのは助かるでしょう。みなさん、心強く感じておられるのではないでしょうか。
 
下郡(竜) おっしゃる通りだと思います。メンバーさんの中には、環境の変化が苦手な方もいらっしゃいますからね。
 
狩野 会社として、どのような理念を共有されているのでしょうか。
 
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パートナーで取締役を務める知子氏
下郡(知) 事業を通じて、一人ひとりが幸せを求められる社会を目指しています。日本では精神医療の隔離政策が長く続いた結果、「精神障がい者」とラベルを貼られることで、本人の生きづらさや社会的排除につながってきました。けれども、障がいの有無を問わず私たち一人ひとりにいろんな背景があり、当事者性があります。それは親との関係だったり国籍の問題だったり、人には言えないことだったり・・・。そんな各々の当事者性に光を当てること、そしてそれぞれの弱さを分かち合うことで「私はありのままの姿でここにいてもいいんだ」と実感する。その先には誰にとっても暮らしやすいスペースが生まれるのではないでしょうか。そういった場所をつくりたくて、事業に取り組んでいます。
 
狩野 ホームページには、「家や学校・会社ではない第三のスペースを創り出します」とも記載されていますね。
 
下郡(竜) はい。メンバーさんはもちろん、誰もが安心して生きやすくなる、そんな居場所づくりに取り組んでいます。特徴としては、音楽やアートを積極的に取り入れています。それぞれが自分自身を表現し、シェアすることで、健常者・障がい者・年齢・性別・子どもの有無・国籍などの垣根を越えてつながり合えると考えているんです。