宝塚を愛する書家による
感性を育む書道教室
書道家の活動と宝塚の推し活を両立!

教室内の宝塚コーナー。タカラジェンヌの写真やサインが並ぶ
麻乃 書道を再開されてから書道教室を開くことになるきっかけは何だったのでしょう。
八ツ田 私の師匠が書壇で活躍されている方だったこともあり、趣味というよりは少し熱心にお稽古に通っていたところ、娘が小学3年生の頃、ママ友から「書道を教えてくれない?」と声をかけられたことがきっかけでした。最初は区民センターを借り、娘やそのお友達と、サークルのような形で書道教室を始めたんです。実はその頃にはすでに、宝塚歌劇にのめり込んでいまして(笑)。
麻乃 では、その頃から、いわゆる推し活とお仕事との両立を考えておられたんですか?
八ツ田 はい。ブライダルの仕事だと土日に結婚式が入ることが多いので宝塚のイベントと被ることも多く、「どうしたら宝塚に通えるか」と真剣に悩んでいました。家庭のこともあったので、自分で時間の調整ができる書道教室の運営を本業にしていこうと決意したんです。
麻乃 えっ、宝塚に通うために書道教室にしぼられたと!?

一人ひとりに向き合った指導を行う
麻乃 ものすごい情熱です。そもそも宝塚歌劇にハマったのはどのような経緯だったのでしょう。
八ツ田 夫の姉が宝塚のファンで、義姉にDVDを見せてもらい、私もあっという間に魅了されました。2009年6月、娘が保育園に入り時間に少し余裕ができ、宙組の東京公演『バラに降る雨/Amour それは・・・』を初めて当日券で一番後ろの席で観劇し、「もっと前で観たい!」と思ったのを覚えています。宝塚歌劇を存分に楽しみたい気持ちこそ、私の原動力。宝塚と書道、まったく違う世界のようで、私の中ではすべてつながっています。舞台と書道は有限な空間に無限を感じさせる創造性と時間軸が似ていて、私の書道作品のインスピレーションの源は、宝塚の観劇なんですよ。紙が私にとっての舞台です。
麻乃 お聞きしたところ、書道教室の生徒さんと一緒に宝塚を観に行くこともあるそうですね。
八ツ田 宝塚を観てみたいという方も多く、「墨組(すみぐみ)」という観劇同好会的な集まりをつくっているんです。生徒さんには「美しい書を書くにはたくさん美しいものを観て聴いて感じて、感性を磨きましょう」と日ごろからお話ししています。宝塚のダンスには筆づかいのエッセンスも多いと感じていて、筆を立てることを「ルルべ」に例える書家は私だけかもしれません(笑)。