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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

楽しみながらものづくり
製造会社への支援事業

 

将来的には可搬式X線検査装置を医療現場に

 
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石黒 先ほどTMSさんで取り扱っているのは、産業用の検査装置だとおっしゃっていましたよね。医療用としては、このようなコンパクトな可搬式X線検査装置はないんでしょうか?
 
小林 はい。なかなか医療用としては用いられていないのが現状です。しかし私自身、将来的には医療用としても応用できればと考えているんですよ。例えば、病院に通院するのが難しく在宅医療を受けている方が、ご自宅でX線検査を受けられるなどですね。また、ドクター自身が訪問しなくても、レントゲン技師や看護師さんやスタッフの方が現場で検査したデータを病院に送信して診療するといった使い方も考えられます。X線検査をする場合は現在、医師の指示が必要ですが、被ばく線量が少なくなれば、将来的には可能にしたいですね。
 
石黒 最近では5Gなどの通信技術の進化もあり、特にコロナ禍以降はオンラインでのリモート診療も増えているように思いますし、医療現場で手軽に検査できたら便利ですよね。私の亡くなった祖母も生前、高齢者施設に入所していました。そこで手厚い介護を受けさせていただいていたものの、やはり精密検査となると病院に行かなければならなかったんです。でも、どうしても身体が弱くなると、移動するのも大変ですよね。
 
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小林 まさにおっしゃる通りですね。実は、私の母も同じ状況だったんですよ。足を悪くしてしまい、晩年は高齢者施設から移動するのも一苦労でした。そこで、医師の方に施設で検査できないかと尋ねたんです。ところが、訪問診療では、そのような機器は持ち運びが不可能なので、病院外で検査をするのは難しいとのことでした。そのような経験もあり、前職に勤務している時代から、いつか自分自身で医療用にも使用できる可搬式のX線検査装置をつくりあげようと決意したんです。
 
石黒 なるほど、ご自身の経験が開発のもとになっていたわけですか。並々ならぬ熱意が伝わってきますよ。近年では、60代の子どもが90代の親を介護するといった、いわゆる老々介護の問題もあり、検査を受けるご本人はもちろん、病院に連れていく付き添いの家族や介添人の負担も非常に大きいと思います。だからこそ、できる限り早く医療現場でもこういった検査装置が使用できるようになるといいですね。