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受け継いだ思いを次代へつなぐ
若い力でグループの未来を拓く

 
 
――そうした秀治会長の姿から、経営者として学ばれてきたことも多いのでしょうね。
 
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そうですね。グループがどうやってここまで大きくなったのかについても、私は父にできるだけ聞くようにしています。私は次を担う立場ですから、「なぜこの事業を始めたのか」という背景まで知っておかなければいけないと思っているんです。
 
もともと神栄グループは建設業から始まり、生コン事業へ進出したことが一つの大きな転機になりました。建設業は大きな利益が出る仕事もあれば、反対に大きな損失が出ることもあります。
 
一方、生コン事業は、きちんとした体制をつくることで安定した経営につなげられる。さらに運輸や建設資材販売、保険代理店などへ事業を広げ、グループ内でさまざまな機能を担える現在の形ができていきました。そうした一つひとつの判断にどんな考えがあったのかを学び、次につないでいきたいと思っています。
 
――大きなグループを次代へつないでいく立場として、プレッシャーもあるのではないですか?
 
もちろんあります。会長と同じことをやろうとしても、私にはできません。ただ、会長からも「俺には俺のやり方がある。お前にはお前のやり方があるやろ」と言われたことがあります。それで、自分に何ができるのかをずっと考えてきました。その中でたどり着いたのが、「人を集めること」だったんです。
 
今の建設現場を見ると、60代、70代の方々が中心となって支えているところも少なくありません。この先も会社を続けていくためには、若い世代を迎え、今いる方々が培ってきた技術を受け継いでいかなければならない。若い人材は会社にとって宝物ですから、今はそこに一番力を注いでいます。
 
――その若手採用の大きなきっかけとなったのが、神栄建設グループ野球部の創設だったそうですね。
 
はい。グループではこれまで、新卒を採用したくてもなかなか応募がありませんでした。それが野球部をつくったことで、「働きながら野球を続けられます」と高校や大学へ声をかけられるようになったんです。私自身も野球を続けてきましたから、これまで築いてきた野球界とのつながりを生かして、奈良や岐阜、三重など各地へ足を運び、監督や選手と直接話をしています。
 
その成果もあって、今年は新卒社員が入り、来年も複数の若者が入社してくれる予定です。野球部をつくった効果は本当に大きいですね。ただ、もちろん野球をしていなくても大丈夫です。野球は若い人たちと会社をつなぐ一つのきっかけに過ぎません。大切なのは、若い人に「ここなら将来を描ける」「長く働きたい」と思ってもらうことだと思っています。
 
――新しい世代を迎える一方で、これまで会社を支えてきた社員との関係性も大切になりますね。
 
そこは今、特に気を付けています。長年現場で働いてきた人たちは、自分たちで仕事を覚え、会社を支えてきてくれた方ばかりです。一方で、これまで部下を持った経験がなく、若い子への教え方に慣れていない人もいます。若い子たちも、社会に出れば初めてのことばかりで、不安を抱えていますからね。
 
だから、どちらか一方に合わせるのではなく、その間に入ってバランスを取ることが私の役割だと思っています。これまで会社を支えてきてくれた人には、変わらずこれからも活躍してほしいですし、新しく入った若い子にも長く働いてほしい。私が両者のクッションになりながら、現場がうまく回る環境をつくっていきたいですね。
 
――若手が長く働ける環境づくりも進められているとか?
 
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▲ 野球を通じて若い人材との縁を広げる神栄建設グループ野球部
そうなんです。新しく寮も建てています。若いうちは住居費を抑えてお金を貯めてもらい、そのお金を将来、家を建てたり結婚したりする時に役立ててほしいという考えです。人材育成についても、会長は「最初は赤字でもいい」と言っています。入社して3、4年は会社が育て、5年目くらいからしっかり活躍してもらえればいい。目先だけを見るのではなく、時間をかけて人を育てていくことが大事だと思っています。
 
――その若い方々が、いずれグループを担っていく存在になるわけですね。
 
そうなってくれたら一番嬉しいですね。今、会長の周りには、長年一緒にグループをつくってきた各社の社長や功労者の方々がいます。その姿を見ていると、羨ましいなと思うんですよ。私も、今自分が採用している若い子たちが成長して、将来は各社の社長や幹部を務めてくれるような形をつくりたい。その子たちと一緒にグループを動かしていけたら最高ですね。
 
特に建設業は、誰でもすぐにできる仕事ではありません。今現場にいる方々が持っている技術を、10代、20代の若者が実際に働きながら学んでいけば、将来大きな戦力になります。その技術を途切れさせず、次の世代へつなげられる環境を整えたいと思っています。
 
――人材育成だけでなく、設備面でも新しい取り組みを進めているそうですね。
 
はい。東神戸宇部生コンでは環境面にも配慮し、工場内の汚れた水を循環させたり、雨水を溜めて再利用したりできる設備を整えています。グループ内のほかの生コン工場でも、こうした環境に配慮した改修を進めているところです。
 
一方で、生コンは“生もの”なので、全てを機械やAIに任せればいいというものではありません。硬さや柔らかさ、水分量などを自分たちの目で見て調整することも大切です。そうした人の技術を大事にしながら、設備面では時代に合った工場へ進化させていきたいですね。
 
――最後に、秀人社長がこれから実現したいことを教えてください。
 
個人的には、いつか海外で生コン工場をやってみたいという思いもあります。海外へ行った時に大きな建物を見ると、「ここに自分たちの生コンを使えたら面白いな」と思うんですよ。日本の生コンは世界的に見ても高品質ですから、そんな挑戦もいつかできたらいいですね。
 
ただ、今の一番の目標は、やはり若い人たちを育てることです。会長が築いてきたものをそのまま守るだけではなく、今ある技術や経験を次の世代へつないでいける組織にしていきたい。そのために人を集め、人と人をつなぐことが、今の私にできることであり、これからの神栄グループをさらに強くしていくことにつながると思っています。
 
株式会社東神戸宇部生コン
代表取締役社長 地神 秀人
 
大学卒業後、日亜鋼業(株)に入社し、会社員として働きながら野球を続ける。その後、父である地神秀治会長の病気を機に家業に入ることを見据え、グループ内に保険代理店がなかったことから、保険事業を担うため損害保険ジャパン(株)の研修生として勤務。保険に関する資格を取得し、飛び込み営業などさまざまな経験を積む。やがて、神栄グループの関連会社である保険代理店、(株)神戸インシュアランスの立ち上げにも携わったのち、(株)東神戸宇部生コンの前身となる工場の再建に参画した。現在は同社の代表取締役社長を務める一方、神栄グループの次代を担う若手人材の採用・育成にも注力。自身の野球界でのつながりも生かしながら、次世代が長く活躍できる組織づくりを進めている。

神栄グループ
https://shinyei-group.co.jp
株式会社東神戸宇部生コン
https://shinyei-group.co.jp/ube
 
 

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