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  • 月刊ブックレビュー  vol.38 『人口減少時代の土地問題 「所有者不明化」と相続、空き家、制度のゆくえ』 抑制の利いた、どこにも煽情的要素がない文章で、空恐ろしい事実とその背景への分析が、つづられていく本。読みながら何度も「マジか!?」「どうすんのよ、それ!」と独り言が漏れました。帯には「持ち主がわからない土地が九州の面積を超えている――。」とあります。これは所有者不明の土地面積の広さをわかりやすく伝えるための客観的事実の描写ですが、ではそれがどういう意味を持つのか、どんな問題があるのかについては、以下に示すページ119の一節がなんとも象徴的だと感じました。

  • 月刊ブックレビュー  vol.37 『日本人の道徳心』 タイトルだけでは具体的な内容が想像できないかもしれませんが、本書はインターネット放送局「DHCテレビジョン」の番組『平成の修身』で著者の渡部昇一氏が語った内容をまとめた本。つまり原題は『平成の修身』です。

  • 月刊ブックレビュー  vol.36 『UXの時代 IoTとシェアリングは産業をどう変えるのか』 『UXの時代』のUXはユーザーエクスペリエンスの略表記。「顧客体験の時代」と訳せるこのタイトルは、「自社の製品やサービスで顧客がどんな体験ができるかを最優先に考える企業が伸びる時代だ」という意味で受け取ると、微妙に違います。著者の松島聡氏が本当に訴えているのは、「ユーザーはもはや、自分が求める物、サービス、体験は自分で生み出し、満たそうとする。それを助けるツールやサービスが評価される時代だ」ということです。最近ではLINEの田端信太郎氏が広告ビジネスについて発したメッセージも同じ趣旨でした。

  • 月刊ブックレビュー  vol.35  『物流ビジネス最前線 ネット通販、宅配便、ラストマイルの攻防』 ちょうど3ヶ月前の2月16日、事務用品通販大手アスクルの物流センター「ASKUL Logi PARK 首都圏」で火災が発生しました。本書は第二章「巨大化する物流センター」の第三節「自家物流か、外部委託か」でこの施設についてふれています。

  • 月刊ブックレビュー  vol.34  『小さな会社でぼくは育つ』 一読して、ここまで担当編集者と著者のタッグ感が出ている書籍も珍しいと感じました。編集者が「私や後輩の世代に向けたメッセージをばーんと」と声をかけてきたという感じや、また、取材先の大企業の新人研修の話に一緒に行った編集者が思わず示した反応を描くところなど、タッグを組む者同士のつながり感が濃いのです。

  • 月刊ブックレビュー  vol.33  『職場の問題地図 「で、どこから変える?」残業だらけ・休めない働き方』 本書第4章「無駄な会議が多い」72ページにこうあります。「NTTデータ経営研究所の調査によると、日本の会社の業務で会議や打ち合わせの占める割合は15.4%。なんと、1人あたり1日1.4時間も会議のために費やされているとのことです」。※従業員規模30名以上の企業の経営者・役員クラスを含む雇用者(正社員)、20歳以上のホワイトカラー職種対象

  • 月刊ブックレビュー  vol.32 『ネットメディア覇権戦争 偽ニュースはなぜ生まれたか』 本書はWELQから始まった一連の問題を特に取り上げてその経緯を検証する本ではありません。主なネットニュース媒体のうち5つについて、開始時から現在までの変遷を追い、メディア志向かプラットフォーム志向か、コンテンツをどう確保しているか、ビジネスモデルはどうなっているか、トップはどんなビジョンを持っているか、等を整理し、課題も一緒に描きつつ、ネットニュース業界への正しい理解を広めようとする本です。その意味で、DeNAの周辺を露悪的に暴いて溜飲を下げさせる類の本とはまったく違います。

  • 月刊ブックレビュー  vol.31 『「ココロ」の経済学 ―行動経済学から読み解く人間のふしぎ』 今はどうなのか、評者の世代(1973年生まれ)までは確かに、「学部は?」と聞かれて「経済です」と答えれば、「ふ~ん」という感じで、なんとなく軽んじられました。漫画や映画などでも経済学部は「大学に進むキャラがとりあえず志望する学部」の設定で、世間の見方は大方が、“卒業しても特別な能力(まだ「スキル」なる語はなかったような)は身につかないだろうに、お気楽なもんだ”というものだったと思います。「工業立国・日本」の旗印のもとで実用に役立つ人材こそよしとされた世相も思い出されます。私たちは今それらをひっくるめて「昭和」と呼び、懐かしむわけですが。

  • 月刊ブックレビュー  vol.30 『鋼のメンタル』 小説はともかく発言は毀誉褒貶相半ば。ネットでの炎上もしょっちゅうの作家といえば、百田尚樹氏が代表格でしょう。本書はその百田氏が鋼のメンタルを持つ秘訣を書きおろした新書。まえがきには、新潮社の名物部長氏にすすめられて本書を書くことになった経緯が紹介されています。