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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

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「晴江はどちらかというと、世間知らずで天真爛漫なキャラクター」と評する羽田さん。では、そうした女性を演じることで羽田さんが込めた思いとは?
 
 

ピュアな思いを肯定する

 
 いくつになっても夢や目標を持つことって大事――。そんな思いが伝わればいいですね。大人になっても「何かをしたい、やりたい」と願う気持ちって、例えば5歳児が『シンデレラ』のお話を読んで、「シンデレラになりたい!」と思うのと同じなんです。大人になると「それは作り話だから」とか否定しますよね。でも、5歳の自分も心の中には絶対にいるはず。大人の自分と子どもの自分が、いつもせめぎ合っているんですね。晴江は、そういう子どもの心を否定しないんです。「誰に咎められても、一生懸命やればいいし、恥をかいてもいい。自分がやりたいことなんだから」とすごくピュア。そして、そういう言動が就職活動で苦しんでいる娘の峰子に、少しずついい影響を与えていく――。ご覧いただく皆さんにもそういうところが伝われば嬉しいです。
 
 私も晴江の、迷わず一生懸命に行動できるキャラクターを見習いたいと思いましたし、芸者を目指す晴江を演じるために、都々逸と鼓、日本舞踊などを猛練習しました。それでも都々逸は自分でもびっくりするくらい下手です(笑)。だけど、脚本のト書きには、「下手だけど一生懸命唄っている」とあったので、下手でいいんだと思って、稽古中も開き直っていました。
 
 表現することって、技を磨けば磨くほどいいパフォーマンスができると思います。でもその前に、本気で、一生懸命やっているかどうかが、すごく大きなウェイトを占めると思うんです。一生懸命に何かを伝えようとする人の表現って、どんなに下手でも、「ヘタウマ」とでも言えるような味があるし、伝わってくる。そうしたひたむきさを持つのが晴江のキャラクターだったので、そこを表現できるよう努めました。
 
 この作品は家族の成長物語。現場に関わったスタッフも撮影を通じてみんなが成長できた作品です。八王子という地域や人に対する愛がふんだんに盛り込まれていますし、コメディタッチですけど泣ける場面もあって、家族の絆が徐々に深まっていくハートウォーミングなお話です。寒さが厳しくなってくる季節に放映されますので、作品をご覧いただいて、心をあたためてほしいですね。
 
 

(インタビュー・文 佐藤学 /写真 Nori/スタイリスト 大園蓮珠(W)/ヘアメイク yoco)
撮影協力:茨城キリスト教学園 キリスト教センター

 
 
 
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羽田美智子(はだ みちこ)
9月24日生まれ 茨城県常総市出身
 

1988年に日本旅行のキャンペーンガールに選ばれデビュー。1994年、映画『RAMPO』でヒロイン役を演じ、エランドール賞新人賞、第18回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。翌年公開された映画『人でなしの恋』でも日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞した。以来、数多くのCM、ドラマ、映画で活躍をしている。

写真が趣味で、プロの写真家と共にカメラの使い方を紹介する番組にも出演した経験も。京都通でもあり、著書に『私のみつけた京都あるき』、『私のしあわせ京都あるき』(共に集英社)がある。また、Eテレ「趣味どきっ!『石川九楊の臨書入門』」(毎週火曜21:30~)で臨書に挑戦している他、TOKYO FM『ゆうちょ LETTER for LINKS』(毎週日曜15:00~)が好評オンエア中。

公式ブログ
 

NHK八王子発『東京ウエストサイド物語』 

放送日:BSプレミアム12月2日(水)22:00~

公式サイト

http://www.nhk.or.jp/shutoken/hachidra/

 
 
 
(取材:2015年10月)
 
 
 
 

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