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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

支援の狭間に虹を架ける 放課後等デイサービス
合同会社ダブルレインボー 代表 上原加奈

 
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川瀬莉子(俳優)
川瀬 障がいを持つお子さんとご家族を支援する、千葉県船橋市の放課後等デイサービス、ダブルレインボーさん。合同会社ダブルレインボーの上原代表ご自身も、障がいを持つお子さんがいらっしゃるとか。
 
上原 はい。息子はとても明るく、人と話すことが大好きな元気な子です。けれど、食事をとることができず、常に鼻にチューブを通して栄養を補給する“経管栄養”を行っており、自宅以外では看護師による医療的ケアが欠かせません。専門的なケアを受けられる施設は全国的に少なく、息子が通える施設は限られていました。さらに、2023年頃に私の視力が悪化し、視界が狭まってきて・・・。将来的には失明する可能性もある難病指定の網膜色素変性症でした。それから、今後の大きな不安に襲われるようになったのです。
 
川瀬 お子さんのケアとご自身の難病の進行が同時で、心身ともに大変な状況だったはず。そうした中で、なぜ独立を決意されたのかとても気になります。
 
上原 いずれは視力を失うかもしれない――と、恐怖と焦りが常に心の中にある中、立ち止まるより「今、行動しなければならない」と強く思ったのです。そこで、願ってきたケアサービスや場所を自らの手でつくろうと、独立を決意しました。
 
川瀬 困難な状況でも前を向き、ご自身で道を切り開こうとされたとは、本当に強い方ですね。
 
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上原 そうでもしないと前を向けなかったのかもしれませんね。「視力があるうちに動かなければ」という思いがありました。さらに決意を後押ししたのが、“福祉制度の狭間”という問題です。
 
川瀬 制度の狭間という言葉を初めて耳にしました。具体的にはどんな状況を指すのでしょうか。
 
上原 確かにご存じない方のほうが多いと思います。現在の福祉制度は、例えば重症心身障害のように、重い身体障害と知的障害の両方を抱えるお子さんを対象とした区分があります。ところが、私の息子のように身体的なケアは重度でも、知的障害とは診断されなかった場合、制度の枠から外れ、受けられるサービスが限られてしまうのです。
 
川瀬 えっ!? 明らかにケアが必要なのに制度の基準から外れるとケアを受けられないなんて・・・。