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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

心に浸み入る色を求めて
塗装職人いろはにほへと

 
 
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川﨑 塗装業にかけて色にたとえるなら、まさに 「青は藍より出でて藍より青し」。しっかり仕切ってくれる親方として、かつての師匠以上に頼りにされているわけですね。
 
若生 だといいですね。実は、スタッフの一人は私の兄なんですよ。私より手先が器用で二級整備士の資格まで持っているのに、おまえのところで働かせてくれと電話をもらいましてね(笑)。 さすがに何でも言い合えるから、時々言い過ぎてしまうこともあります。
 スタッフは年上が多くて、私はあまり 「親方!」 ってイメージじゃないんです。むしろ、一緒に現場を仕上げていく仲間として楽しくやっています。

色は匂ひて心に宿り

 
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川﨑 前から興味があったのですが、塗装職人さんは原色のままのペンキを混ぜ合わせて絶妙な色を作っていくじゃないですか。あれは目分量でやっているのですか。
 
若生 調色は本当に難しいんですよ。私たち塗装職人は赤・黄・黒・白からあらゆる色を作るのですが、特に赤は強いので、少しでも入れ過ぎると、アッという間に、作ろうとした色からかけ離れてしまうんです。
 しかし、川﨑さんは詳しいですね。うちに来ませんか。いい職人になれそうだ(笑)。
 
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川﨑 実は、僕は水彩画をやっているんですよ。子供の頃から絵が好きで、大学も美術系に進みました。最近になって美術展に出展したり、自分のブログで発表したりしていまして、それを見たファンの方から依頼されて、もつ鍋屋の内装を手掛けたこともあります。
 
若生 いいなあ、そういう仕事って、楽しそうで(笑)。たまに食事などで立ち寄った店で、「エイジング」 と呼ばれる錆びた雰囲気や汚れを演出する塗装をしているのを見かけますが、ああいう塗り方ができたらカッコいいでしょうね。プロの塗装屋はきっちり塗る習慣が体に染みついてしまっていて、芸術的な冒険ができない弱みがあるんですよ。
 
川﨑 でも、狙った通りの色をきっちりと出して塗り上げて、お客様を満足させていくというのは、僕から見れば神業ですよ。ペンキは乾くと微妙に色が変わるから、それこそ絶妙な調色感覚で、ムラなく塗り上げていかないといけないじゃないですか。
 
若生 まあ、美術系の仕事というよりかは、体育会系の仕事ですよね(笑)。その日の体調までが仕上がりに影響してしまう。だから、早寝早起きがすっかり身に付いちゃいましたよ。