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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

古都明日香の金属加工 職人が仕掛ける新名物
飛鳥株式会社 代表取締役 辻正道

 
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インタビュアー 水野裕子(タレント)
水野 奈良県明日香村を拠点とする飛鳥株式会社さん。多くの工作機械が並んでいますね。こちらの工場ではどのようなお仕事をされているのでしょう。
 
辻 主力は金属加工で、船舶のエンジンを守る「海水こし器」やフォークリフトの駆動部品などを製作しています。特に船舶部品は安全に関わる重要箇所なので、非常に厳しい基準と精度が求められるんです。
 
水野 日本の海上インフラを支える専門性の高い仕事ですね。それだけ精密だと、コストや効率の面でご苦労も多いのでは?
 
辻 手間がかかる仕事は敬遠されがちで、廃業する町工場も増えました。効率だけを考えれば、大量生産のほうが理想的でしょう。しかし、私たちは“誰かがやらなければならない仕事”にこそ価値があると思っています。他社が断る仕事でも、誰かが供給を維持しなければ、船の運航が止まり、そこに依存するさまざまな現場にも影響が出てしまいますからね。
 
水野 製造する部品が社会の安全や循環そのものを支えているということですね。そこまで覚悟を持って引き受ける原動力は、どこからくるのでしょうか。
 
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辻 困っている人を助けたい、その一心です。以前、火山の噴火で軽石が大量漂着し船が動かせなくなった際、エンジントラブルを防ぐ装置を急造しました。採算度外視でも助けを求められたら応える。その積み重ねが信頼になり、結果として技術の進化にもつながったと思います。
 
水野 それは心強いです。辻社長はYouTubeでご自身の技術を公開されていますよね。職人技を“公開する”というのは、従来のものづくり企業にはあまりない姿勢だと感じます。
 
辻 ええ。「どうぞ真似してください」という思いで発信しています。隠すより役立ててもらうほうがいいんです。同業者や若い職人のヒントになり、業界全体が盛り上がれば、結果として日本のものづくりや技術が未来へつながりますからね。
 
 
 
 

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