プロフィール 佐賀県出身。高校卒業後、父の経営する会社に勤め、鉄鋼加工の仕事に携わる。2006年に(株)ツバサを創業。当初は金属製品の製造を手がけながら、父の会社をサポートするも不況に陥ったことをきっかけに、製造業から撤退し、倉庫業に転換。その後、再び鉄鋼の加工業に参入。現在は事務所や商業施設など、あらゆる建物に使用する鉄骨の製造と施工に対応。国土交通大臣認定のMグレードを取得するなど、高い技術力を誇っている。
福岡県直方市に本社を、宮若市に工場を構える株式会社ツバサ。建築鉄骨の製造・現場組立という重要な業務で建物を支える末次誠二社長は、“1.5代目”という意識で経営にあたっていると語る。自分に仕事を教えてくれた父、苦しいときに助けてくれた同業の経営者、融資に応じてくれた金融機関、人手不足の中で汗を流してくれる外国人スタッフなど、すべての人に恩返しをするために末次代表はまっすぐ前を見つめている。
ご縁と挑戦の道のり

インタビュアー 村田諒太(元ボクシングミドル級世界王者)
末次 もともと私の父が同じ分野の会社を経営していました。高校を卒業した私も父と一緒に働き、金属加工の業界の経験を積ませてもらったんです。ただ社内で新しい挑戦をすべきだと考え、父とは方向性が変わりましてね。そこで、2006年に独立し弊社を創業した次第です。当初は建築鉄骨ではなくもっと小さな金属製品の製造が業務でした。それは、弊社を通じて父の会社をサポートするためでもあったんです。
村田 お父様を支えようという意図で、あえて距離を取り別の事業を始めたわけですね。
末次 ええ。ただ、残念ながらリーマンショック後の不況で資金繰りが悪化しまして。銀行に融資を頼んでも断られてばかりでした。ところが、ある信用金庫さんを訪ねたところ一言、「貸しますよ」と言ってくれたんです。これで息を吹き返した弊社は製造業から撤退し、お客様の倉庫で荷物を出し入れする事業に転換しました。その後、再び鉄鋼の加工業に参入したんです。数々の失敗を繰り返してきましたが、逆境だからこそ、迷いなく進めたのだと思います。