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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

障害を理由に特別視せず
真摯に子どもと向き合う

 

高収益の事業で仕事に見合った工賃を払う

 
名高 実際、どのようにルールを守ることができない子どもがいるのでしょうか。
 
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上野 例えば、鬼ごっこをしているときに自分が鬼になると泣き叫んだり、絶対に鬼はやらないと言い張ったり。トランプでも自分だけのルールをつくり、それが通らないとカードをぐちゃぐちゃにしてしまうなど、誰かと協力する行為が苦手な子が多いんです。ですから私たちは「鬼がいないと鬼ごっこはできないよね。鬼になるのが嫌ならみんなと一緒に遊べなくなるよ。それでもいいの」と根気強く話しかけて指導しています。すると、鬼になることを嫌がっていたお子さんも、鬼の役で遊べるように変わっていくんですよ。
 
名高 遊びを通じて成長を促す。学校の勉強とは異なる方法で子どもを伸ばす上野代表の方針に私も大賛成ですよ。就労継続支援も、アイデアが豊富でびっくりしました。
 
上野 Familiaは、子どもたちが高校を卒業しても支援するために開業しました。就労継続支援B型は箱詰めのような仕事が多く、Familiaでも行っているものの、もっと自分たちの力でお金を生み出せる仕事をつくるというのが私たちのポリシーなんです。現在はモリンガ茶の製造、野菜の栽培、オリジナルカレーの販売、さらに、夫のアイデアでメダカの飼育・販売と事業を拡大しているところで、いずれも高い収益を生み出しています。
 
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名高 事業としてしっかり利益を得るというのは、とても大切なことですよね。
 
上野 そうなんですよ。障害があっても仕事をする、社会に貢献したら成果に見合った報酬を受け取ることは大切ですよね。就労継続支援B型は一人あたりの工賃が月1~2万円ほどと低いのが業界の悩みである中、私たちは、それ以上の工賃をお支払いできるよう頑張っています。
 
名高 素晴らしいお取り組みだと思います。上野代表が、そうした見事な舵取りの中でスタッフさんに伝えていることも、ぜひお聞かせください。
 
上野 私が心がけているのは、スタッフに「こうしなさい」と指示を出すのではなく、子ども一人ひとりの感情や状況に合わせて自分の考えで対処することです。