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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 

芝居の楽しさを感じるため
稽古を繰り返し心を動かす

 
2010年、映画『冷たい熱帯魚』で二面性を持つ殺人鬼役を好演し数々の賞を受賞するなど、映像作品に欠かせない俳優として活躍を続けているでんでんさん。インタビューの中では、「演じているのではなく、その役として生きている」と語ってくれた。芝居の楽しみは、稽古を繰り返した先にあると話すでんでんさんに、長年の経験の中で培われた仕事に対する価値観などをお聞きした。
 
 

自分の心を動かす

 
年を重ねるにつれ、芝居により真面目に向き合うようになりました。デビュー当時は知らないことが多すぎて、「こんなもんでいいのかな」と妥協してしまうこともありましたからね。現場で先輩方の芝居を見て、少しずつ学習させてもらいました。稽古方法を教えていただいたこともあります。
 
当時教えてもらった、芝居の仕上がりの基準値については今でも大事にしています。例えば、セリフを覚えたかどうかは、5回連続で喋ってミスがないことを基準にしているんです。5回連続で完璧に喋るのは、結構難しいんですよ。相当稽古しないといけません。若い頃は、多くの先輩にいろんなことを教えてもらっていました。
 
でも、この年になるとアドバイスをくれる人はなかなかいなくなってしまいましたね。自分で考えて芝居をしなければいけないんです。ただ、長年この仕事に携わってきたのでお互いをよくわかっている共演者やスタッフの方々も増えましたし、ある程度のことは笑ってごまかせるようになりました(笑)
 
“自分で考える”ということは、30代の頃から意識していたことでもあります。当時、ある演出家の方に自己演出を心がけるように言われたんですよ。その習慣が、今となってはとても役立っています。
 
また、一つのフレーズごとにA・B・Cの3パターンを用意しておくようにアドバイスをいただいたこともあります。演出家の方がどのような演技を求めているのかわからないので、3パターンを事前に用意しておくと良いと教わりました。当時は新人で仕事も少なかったので、それだけの案を考える時間もあったんですよ。
 
でも、今振り返って思うのは、大事なのは3パターン考えることじゃなかったんです。大切なのは、心の持ちようを変えることだったんですよ。自分の心を動かすことができれば、芝居は変わります。表面だけ変えて3パターンつくってもダメなんですよね。
 
 
 
 
 

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