在宅勤務が増え、SNSを賑わせたのが、飼い主の仕事を邪魔してくるかわいい猫の写真。時にはキーボードに寝そべり、時にはオンラインミーティングに乱入して場を和ませる様子は、住宅事情などでペットが飼えない猫好きには、喉から手が出るほど羨ましい光景なのでは？　「テレワークが捗らなくても、日常的に猫にご奉仕したい」――そんな猫派の願いを叶えつつ、人にも猫にも嬉しいワークスペースが、実は世田谷区・三軒茶屋にあるんです！
 
猫がいるワークスペース「neco-makers」は、三軒茶屋の住宅街に佇む、賃貸住宅やレンタル店舗などを備えた複合施設「SANCHACO」内にあります。2020年6月に竣工したSANCHACOは、暮らしや働き方を通して「一匹でも多くの猫を幸せにしたい」という思いから生まれた、保護猫と街をつなぐクリエイティブ拠点。世間では築浅のペット可物件が圧倒的に少ない中、4戸あるメゾネット型賃貸住宅では保護猫を飼うことを推奨。建物共有部には猫の居場所を設けるほか、地元の保護団体と連携を取りながら、譲渡会やフリーマーケットを開催するなど、地域ぐるみでさまざまな活動に取り組んでいます。その一環として、2021年に新たにオープンしたのが、保護猫がいるワークスペース「neco-makers」なのです。

人が仕事中でもおかまいなくマイペースに過ごす猫とワークスペースは、一見、ミスマッチのような気も。しかし、そこを“猫が邪魔しに来る”と銘打ち、あえてワークスペースを設けたのは、ワーケーション的な側面を狙ってのことなのだとか。コロナ禍で働き方をはじめさまざまな価値観が変化し、ゆとりを持つことが見直されている昨今。猫との暮らしは生産性とはまた違った何かを生み出すきっかけとなり、仕事の面でもいい影響を与えてくれることが多いのかもしれませんね。
 
猫を飼えない猫好きにとって、例えば週に1度でも、猫のいる環境で仕事できるのは、まさにご褒美。そのためなら、他の曜日は集中しようとモチベーションも上がるはず。利用中は猫と遊ぶことが適度な休憩になり、結果的に仕事のパフォーマンス向上やインスピレーションを高めることにもつながります。それこそ、オンラインミーティング中に猫が現れれば、画面越しでも会話が弾む嬉しい効果もありそうです。

neco-makersは、最大10人ほどが利用可能。床に無垢材を使用するなど、猫にも人にも優しいナチュラルな空間で、居心地も抜群です。最新のトイレ砂などを使用しているので、匂いも気になりません。電源やWi-Fiといった仕事のための設備はもちろん、キッチンや冷蔵庫もあり、さらに、服に付いた猫の毛を取るための粘着クリーナーが用意されているのも助かります！　ワークスペースでは現在5匹の保護猫が暮らしており、みんな人慣れしている子ばかり。比較的高齢猫が多く、膝の上でお行儀よく眠ってくれたり、窓際で日向ぼっこをしていたりとのんびり過ごしているので、思ったよりも仕事は捗りそうですね。
 
neco-makersを利用するには「肉球会」の登録が必要。利用する曜日や回数によって、会費が異なります。ちなみに、猫たちのお世話は、賃貸住宅の入居者や近隣住民、肉球会メンバーで行っているとのこと。ワークスペースを利用できるだけでなく猫と密接に関われるとは、猫に尽くしたい人にはぴったりです。また、猫のお世話などを通じて利用者同士のつながりが広がるのも、一般的なワークスペースにはない魅力の一つと言えるでしょう。  
現在、埼玉県の越谷にも同様の施設をオープンする予定があるとのことで、今後はこうした猫も人も幸せになれるワークスペースが全国に増えることに期待が高まります。猫が好き、保護猫活動に興味があるという人は、ぜひneco-makersを利用して、猫に邪魔されながら仕事する喜びを噛みしめてみてください。