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知識・スキル・ノウハウ――ビジネスを円滑に進めるための要素はさまざまあるが、真の成功者はそのビジネスに取り組むうえでの“マインド”を持っているものだ。そんな視点に基づき、多種多様な業界で活躍する経営者の中でも、ビジネスの「核」となりうるマインドを持つ人物にスポットライトを当て、読者が仕事と向き合う際の新たな気付きとなるような情報を発信するコラム企画。
 
 

1.希望をヒアリングし、最適なサポートをする

 
――クリニック工事LAB.の具体的な事業内容は?
 
 クリニックの開業プロジェクトを、物件探しから設計や施工、運用のサポートまでお手伝いさせていただいております。クリニックを開業する際は、不動産会社や設計会社など、5、6社が関わるのが一般的です。それを医師が全て手配するのは大変ですから、我々が先生の希望をヒアリングし、最適な建築士または設計者をアサインしたり、施工会社に入札をかけたりして、どこがハイクオリティかつ予算を抑えて施工できるのかなどの業者選定をサポートしていきます。
 
――クリニックならではの特徴は?
 
 例えば、アパレルショップなどで優先されるのは内装のクオリティです。クリニックの場合は、動線が最優先なんですよ。医師や看護師、患者さんなど、常に多くの人が行き交っているのがクリニックです。そのクリニックによって、求められる動線も異なります。診察室に患者さんを案内するクリニックもあれば、先生が患者さんのもとを訪問するクリニックもあります。ですので、私は半日ほど院内で動きを観察させてもらい、設計に役立てています。
 
 

2.比較して選択する大切さ

 
――多岐にわたるノウハウを得たのは、どういった経験から?
 
 新卒で入社したホームセンターで、店舗開発部に配属されたことですね。私は、店舗で事故が起きたり、エレベーターなどが故障したりした際に対処する仕事をしていました。例えば、「壁から水が出ているんだけど」という連絡がきたこともありましたね(笑)。最初の頃は困惑してばかりでしたが、慣れてくると「その水、臭いはありますか?なければ上水なので、元栓を閉めてみてください」とすぐに判断できるようになるんですよ。わからないことを、とにかく調べて対応できるようにしていく――その繰り返しでしたね。いくつもの店舗を担当していましたので、1ヶ月に500kmほど車移動をするなど、激務ではありましたが、人の役に立っているという実感がありました。それに、建築に関わる仕事が自分に合っているんだと気付けたんですよ。
 
――当時の経験の中で、特に現在生きていることは?
 
 比較して選ぶことの大切さを知ったことです。ホームセンターのように大きな店舗を建てるには、100億円規模のお金が動きます。その見積書は、広辞苑3冊分ほどの厚さがありました(笑)。それを1ページずつ細かく確認し、経費を削減できるところがないか探すんです。膨大な量を確認するのが大変なのはもちろん、施工会社の荒探しをしているようで、あまり気持ちの良い仕事ではありませんでした。そこである時、設計図だけをつくり、複数の施工会社に見せて見積もりを出してもらったんです。そうすると、例えば1社は100億円、ほかは70億円と65億円、といったように、大きな差が出たんですよ。私が見積書を確認して経費削減するより早いですよね。なぜそれだけの差があるのかを比べることで、何にお金がかかっているのかも明確になります。
 
 

3.何事もまずはチャレンジしてみること

 
――開業サポートで独立するにあたり、クリニックを専門にした要因は?
 
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 ホームセンターに勤めたのち、クリニックと不動産会社で働いたことです。クリニック勤務時には、開業支援に携わる機会がありました。その際に、先ほどお話しした件と同じように見積もりを取ったところ、当初の予定の半分の金額で施工ができたんですよ。不動産会社では、医師の方々に対して不動産を紹介する部署に所属しまして。そういった経験の中で、ホームセンターで勤務していた時よりも、“ぼったくられる”機会が多いと感じましたね。本来必要な金額よりも倍のお金を払っていては、医療が広がっていかない。そういった危機感を抱いたんです。
 
――独立に至ったきっかけは?
 
 これまでの経験を通じて、医師の方々の開業をより良い形で支援したいという思いが強くなり、独立を決意しました。私は何事も、まずはチャレンジしてみるようにしているんですよ。わからないこと、知らないことを減らしていくためには、どんなこともやってみることが大切だと考えています。
 
 

4.ぼったくられる医師をなくすために!

 
――『クリニック開業 ぼったくり完全回避マニュアル』で、読者に伝えたいメッセージとは?
 
 「先生、もうぼったくられないでください」という言葉に尽きます。ぼったくられた金額を見ると、クリニックを2つつくれる、という場合もあるんです。大切なのは、信じるか、疑うかの二択ではなく、自分で確かめることです。無条件で信じると、ぼったくられます。疑ってばかりだと、人は離れていきます。どちらでもなく、まずは何にお金がかかっているのか、自分で確かめることが重要なんです。ほかの業者と比べるなど、“セカンドオピニオン”のように試してみてほしいですね。そのために必要な知識を、『クリニック開業 ぼったくり完全回避マニュアル』に書きました。私一人では全ての先生を助けることはできません。直接カバーできない範囲は、この本に託すような気持ちです。著書に限らず、SNSでも医師の方々に向けてさまざまなメッセージを発信しています。例えば、トイレに『ブルーレットおくだけ』があるクリニックは人が集まらない、とよく話していまして。ブルーレットおくだけがあるということは、タンクのついた古い型のトイレなんです。クリニックは、設備が古いと患者さんの信頼に関わります。これは正しい、正しくないではなく、感覚の問題なんですよね。私としては、トイレにまでそういった気配りができたほうが良い、というメッセージを込めているんですよ。今後も、一つひとつの出会いを大切に、より多くの先生の手助けができれば嬉しいです。
 
『クリニック開業 ぼったくり完全回避マニュアル』
奈良 篤樹
 
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これまで100件以上のクリニック案件に関わってきた建築コンサルが、開業時に直面しやすい判断のポイントを、現場経験に基づいて具体的に解説。専門用語や業界慣習に不慣れなまま話が進みやすい領域だからこそ、本書では「何を確認すべきか」「どこで立ち止まるべきか」を丁寧に言語化している。クリニック開業における物件探し、見積、契約、施工の落とし穴や「ぼったくり」を生む構造について、医師・歯科医師の視点に寄り添いながら整理した一冊。
:パノラボ (2026/5/20)
 
株式会社瑞祥/クリニック工事LAB.
〒130-0013
東京都墨田区錦糸2-4-6 ハローオフィス錦糸町406
https://nara-clinic-lab.com
 
発行:株式会社フォーウェイ
発売:株式会社パノラボ
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