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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

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テレビ番組の仕事は北村氏のストレス解消になることもあるそうだ。「自分の考えをストレートに述べることができるし、現実の依頼者がいないので、敗訴など最悪の結果を招くことがない。間違いを放送してはいけないという責任はあるが、本業に比べたらはるかに気楽」だという。裏を返せば、本業での仕事はそれだけの責任と重圧にさらされるわけだ。
 
 

公正・公平が貫かれていない所には、正義もない

 
 弁護士の仕事には、依頼者の方々の人生がかかっていますからね。全力を尽くして有利な結果が出るように努めなければなりません。弁護士というのは自分の信念が大きく影響する仕事だと思います。信念から著しく反する依頼に手を出すと、絶対いい結果は得られないものです。自分の筋を通せていない、自分の思う正義に反している、と感じる仕事をしてもうまくいかないのは当然ですよね。
 
 私が思う正義は、そこに広い意味で公正・公平が貫かれているかどうか、多面的に検討して合理的と言えるかにかかっています。たとえば、立場の強い人間が弱いものをいじめているとしか思えないような状況に、正義はありません。ですが、世の中には立場の違いを利用して他人を虐げている事例がたくさんあります。そういうことが私は性格的に許せないんです。
 
 私には中学2年生の時、教師たちの策謀によって自分の所属していた野球部を廃部にされた経験がありましてね。その出来事が、今の仕事で自分の信念を貫く原点になっていると思います。私は幼い頃から野球が大好きで、部活が楽しくて仕方なかったのですが、2年生の始業式の時に突然、「野球部は廃部にします」と校長先生から言い渡されたんです。なぜ廃部にするのか説明を求めたけど、正当な理由と思われる言葉は教師からは一切出てきませんでした・・・。
 
 
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長いものに巻かれず、目上の人間に対しても自分が正しいと思えば意見することを厭わない北村氏の気質は生来のもので、父親譲りなのだそうだ。理由も知らされず、卒業するまで大好きだった野球をする環境を奪われてしまった北村少年の怒りは察するに余りある。時が経ち、高校3年生の夏、再び母校を訪れると野球部は復活していた。そして、当時の担任から廃部にした理由を聞かされ、北村少年は再び愕然とさせられることになる。
 
 

真の強者は外部に責任を求めない

 
 担任だった教師の説明は「野球部に運動神経がいい生徒が集まりすぎていて、他の運動部が強くなれないから」というものでした。そういう考えを持つ運動部の顧問が複数いたらしい。それで、野球部の顧問をしていた先生が転勤をしたタイミングで廃部に追い込んだのだとか。それを聞いた時は、一方的に廃部を決められた時以上に腹が立ちましたね。そして当時、廃部の説明を求めて校長や教頭らに食い下がり続けた自分の行動は正しかったと思いました。また、自分たちの立場の強さを利用して、それに従わざるを得ない人間たちの気持ちに配慮できないような輩は、誰であろうと絶対に許してはいけないと誓ったのです。
 
 だからと言って、立場が弱い人間が全て正義だとは言いません。自分の弱い立場を利用して不正を働く人もいますからね。「自分は弱い立場だから正しい」と言う人は単にずるいだけなんですよ。強者=悪、弱者=正義という固定的な見方は間違っています。
 
 真に力がある強い人は自分に自信があるから、他人をいじめたり弱い立場を言い訳にして自分の不遇を社会や人のせいにしたりはしないものです。むしろ他人に対して寛容になれるんですよ。さきほどの部活の例で言うなら、そもそも、自分が受け持つ部が強くなれない原因を他に求めているような人間が指導しても、強くなるわけがない。有能な教師であれば、その指導力で部を強くすることはできる。生徒の力を引き出す能力があるのですから。そういう実力のある強い人は、たとえ自分が立場的に辛い境遇に立たされていても、必ず努力して自分の力で苦境を乗り切ろうとするもの。もちろん、私自身もそういう強い人間でありたいと思って、日々努力しています。
 
 
 
 

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