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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

成長を後押しする環境で
地図に残り命守る仕事を

 

航路・道路標識の工事会社を経て代表に

 
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矢部 朝倉社長はもともと、2代目として後を継ぐおつもりだったのですか?
 
朝倉 それが、まったくそんなつもりはなかったんですよ。私は子どもの頃から釣りが大好きで、中学生のときに「将来は海に関わる仕事をする」と決めていました。具体的には水族館の館長になろうと思い、東海大学に進学したのですが、水産学部へ入るつもりが間違えて海洋資源学部へ(笑)。その学部では海洋鉱物資源や金属材料工学、地質学などについて勉強しました。ところが山岳部に入部したことで、山登りに夢中になってしまって。卒業後も就職はせず、アルバイトで高層ビルの窓ふきをしながら社会人山岳会で山登りを続けました。
 
矢部 海洋系の学部に進学したのに、山登りに熱中したというのはおもしろいですね(笑)。高層ビルの窓ふきというのも、なんだか登山に通じるところがあるような気がします。
 
朝倉 はい、実際にクライミングの技術を生かして仕事をしていましたね。山登りのほうは当時、エベレストの壁を目指して本格的な練習を続けていたのですが、結婚を機に引退をしました。それで今度は海洋の知識を活かそうと、船が衝突しないようにするための航路標識を設置する会社へ就職し、建設中だった東京湾アクアラインの工事に携わりました。
 
矢部 へぇー、アクアラインには、どのようにして航路標識を立てるのでしょう。
 
朝倉 アクアラインを設置するにあたり、事前に測量用にやぐらを海中に4つ建てていたので、その四隅からロープ1本でぶら下がって、支柱の途中にある架台に航路標識を設置しました。その後は定期的にメンテナンスもしたんですよ。干潮時は一番高いところで海面から10mくらいです。また沖縄の火力発電所では、タンカーが到着する沖合のバースで海面上45mの鉄塔にロープを引いて登り、命綱一本で電球交換もしていました。航路標識が消灯したら他の船が夜間に衝突してしまいますからね。この仕事でも、クライミングの経験は役に立ちましたね。
 
矢部 えっ、そんな高いところから、ロープ1本でぶら下がるんですか。すごいなぁ。それにしても、海洋にクライミング、標識設置のお仕事は、それぞれ知識や経験がリンクしているんですね。その後はどうされたのですか?
 
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朝倉 同じ会社で灯台や航路標識の浮体であるブイの設計・設置などの仕事も経験し、4年後に弊社と同じ道路標識関連の大手企業に転職しました。その会社では工事だけでなく、現場管理や積算業務なども勉強しましたね。当時の弊社にはこれらの業務をこなせる人材がいなかったので、そこから4年半後にそのノウハウを持って弊社に入りました。
 
矢部 では朝倉社長が入社して、サンデンコーさんは大きく変わったのでは?
 
朝倉 そうですね、それまでは職人集団だったのが、徐々に現場の管理業務もできるようになりました。私自身は2015年に代表に就き、施工や現場管理に必要な国家資格の取得を積極的に後押しするなど、スタッフの育成にもますます力を入れています。