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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

日本茶販売企業が果敢に挑む
お茶文化復興の試み

先代の大反対を押し切り、
新事業をスタート

 
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川村 何度のお湯でお茶を淹れたらいちばん美味しいとか、そういった淹れ方・飲み方の情報も発信されているんですか?
 
井ヶ田 それこそ我々小売店の仕事だと思っています。たとえばほうじ茶だったら、ヤカンで煮立てたほうがだんぜんおいしくなります。麦茶はティーバッグで水出しするより豆を炒ったほうが風味が出ますし、おいしくなります。
 こういったご説明をさせていただく際に喜んで聞いてくださる方は間違いなくお茶好きです。業界にとっても、とてもありがたいお客様です。私たちが心配なのは、「お茶にするか、コーヒーにするか、スポーツ飲料にするか」と迷っている方々です。そんな方々が迷わずお茶を選ぶようになるように、「お茶というのはこんなにおいしくて、健康にいい飲み物なんですよ」としっかりお伝えしていきたい。今は食卓にお茶が出ていなくても、「お茶がないぞ」と指摘する人のほうが珍しいくらいになりました。そんな状況も、これからは業界が積極的に変えていかないと。
 
川村 熱いですねえ(笑)。お茶の話になると、つい熱くなってしまうんですか?
 
井ヶ田 そうなんです。社員にも「熱くなりすぎ!」とよく叱られます(笑)。ただ、今の20代~30代前半の方がお茶を飲まないまま50代、60代になったときを想像すると怖いんですよ。業界の先行きもそうですが、彼らの健康のことを考えるとね。だから今のうちに、とにかく若い世代に「お茶っていいんだよ!」と伝えていきたいんです。
 
川村 その想いが、井ヶ田代表をお茶カフェのオープンに漕ぎ着けさせたんでしょうね。
 
井ヶ田 そう思います。実は当初、現在の会長、つまり私の父である2代目社長には大反対されました。「人件費もかかるし、採算が取れるわけがない」と。確かに儲からないです。でも、若い世代にお茶がおいしいことを知ってもらえる場所を、少しずつでも作っていかないと。業界的に物販部門だけでは売上増はなかなか難しいですし、社員の間にも「このままでいいのかな」という機運が高まっていたから、最終的には皆の想いが結実したんでしょうね。
 
 

多彩なニーズに対応する
幅広い品揃え

 
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川村 以前からの物販面で、御社のアピールポイントをあげるとしたら?
 
井ヶ田 取り扱い品目の多さは全国でもトップクラスだと思います。関東ではなかなか見かけない九州の八女茶や佐賀の嬉野茶もお取り扱いしています。関東のものなら、有名な狭山茶もありますよ。お茶というのは嗜好品でして、静岡のお茶が好きで飲み続けている方に京都のすごくいいお茶をお勧めしても受け入れられないことがあります。逆も同じ。ですから、静岡のお茶が好きな方には静岡のものをお勧めしますし、京都のお茶が好きな方には京都のお茶をお勧めしています。