濵口 建設現場や工場での安全確保のためのアドバイスをさせていただいています。現場経験を活かし、講習や講演、教育を行っているんですよ。
畑山 作業中の不注意が大きなリスクにつながる業界が対象でしょうか?
濵口 ええ、建設会社様がメインです。安全に関する書類・計画の作成サポートや、安全の管理・作業に役立つレクチャーなどを、業務内容に合わせて実施しています。
畑山 事故は労働者の健康や会社の信用にも影響しますから、安全コンサルタントの意義は大きいと思います。先ほど、濵口代表は「現場経験を活かしている」とおっしゃいましたね。以前は建設業界にいらっしゃったのですか?
濵口 はい。住友金属工業などに勤め、多様な工事に携わっていました。しかし、40代半ばのときに指を切断する事故を経験したんです。
畑山 それは大変でしたね・・・。私の知り合いの社長からも、若い社員が同じような怪我をしたと聞いたことがあります。
濵口 そうなんですね。それを機に安全をより意識するようになり、自分のような思いをする方を少しでも減らしたいと考え、労働安全コンサルタントの資格を取得し、5年ほど橋梁の現場を年間120件回って安全教育を担当したのち独立しました。
畑山 事故体験が起業につながったと。現場作業と安全教育のキャリアが土台になっていることもわかりました。
濵口 もう一つ、私を形成した要素に心理学があります。私は大阪大学の大学院へ通い、人間科学研究科で安全行動学を学びました。ヒューマンエラーの仕組みは、心理を学ぶことで深く理解できると考えたからです。ミスは誰かの責任として片付けがちであるものの、実際は起こるべくして起きている。心理学に“ゴリラのバスケットボール”という実験例があります。試合中にパスの回数を観客に数えてもらうと、そこにゴリラが現れても気付かない。それは、パスの回数を数えることに没頭し、集中するからです。
濵口 もう一つ、私を形成した要素に心理学があります。私は大阪大学の大学院へ通い、人間科学研究科で安全行動学を学びました。ヒューマンエラーの仕組みは、心理を学ぶことで深く理解できると考えたからです。ミスは誰かの責任として片付けがちであるものの、実際は起こるべくして起きている。心理学に“ゴリラのバスケットボール”という実験例があります。試合中にパスの回数を観客に数えてもらうと、そこにゴリラが現れても気付かない。それは、パスの回数を数えることに没頭し、集中するからです。