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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

 
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インタビュアー 名高達男(俳優)
名高 非鉄金属の市場動向を分析して企業などに提供する業務が、つくし資源コンサルさんの主な仕事とうかがっています。渡邉社長が今の事業を経営するに至った経緯はどのようなものだったんですか?
 
渡邉 ここ沼津市は工業が盛んな都市で、私も子供の頃から 「ものづくり」 の方向に進むと思っていました。工業高校を出て、大学こそ法学部で学んだものの就職したのは電線のメーカーで、当初は工場勤務をしていました。それから材料の銅を調達する部署に配属されまして、銅以外にスズや鉛も使っていたので、そこで非鉄金属の買い付けの仕事を覚えたわけです。
 
名高 買い付けというのは、主に海外から調達するんでしょうか。
 
渡邉 はい。日本国内ではほとんど採れませんからね。ただし、非鉄金属の市場相場というものは世界的に決まります。円が高いと、相場より低い価格で買いたいと思っても 「それなら売らない」 と言われたらおしまいなんです。
 
名高 しかも、相場は生き物で安定しないでしょう。たとえばオリンピックなどで需要が高まれば、ドンと跳ね上がることもあるのでは。
 
渡邉 そうなんです。ですから、そうした動きをなるべく早く、正確に先読みすることが必要になります。そのために様々な方向から情報を取り込んで、分析して、調達の仕方につなげていくのが日々の仕事でした。
 
名高 毎日市場の動向を見ていたら、相場観といいますか、一種の勘が養われたでしょう。
 
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渡邉 そうですね。ただ、企業は商いが大切ですから、どうしても目先のこと、つまり 「今銅は足りているのか、いないのか」 ということが大切になるんです。けれどもその後、世界状勢と連動した非鉄金属の需給動向を研究する機関に出向した時期があり、そこで客観的視点による調査・分析を重ねた経験が、今日の礎になっていると思います。
 
名高 調査には様々な方法があると思いますが、情報の収集はどのように?
 
渡邉 インターネットも今のように普及していない頃でしたからね。国会図書館に頻繁に出向いて文献を調べたり、海外で発行される専門書を読み込んだり、地道に足で稼ぐ収集方法でしたよ。