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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

未来を拓く医療機器を通じて
イスラエルと日本の橋渡しを

 
 

ガン治療に向けて実証された可能性

 
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宮地 それは私たち女性にとっては心強いことですが、子宮筋腫を超音波で壊死させることによって、その後の妊娠などへの影響はないのでしょうか。
 
バウアー 女性らしい、良い質問ですね。インサイテック本社も最初にアメリカで販売承認を受けた2004年には、今後出産を望まない方にしか治療適用をお勧めしていませんでした。なぜなら、理論的には子宮周囲の臓器に影響を及ぼさない治療法であることが明白でしたが、妊娠への影響を判断するデータがなかったからです。
 しかし、その後、治療後に妊娠されたケースが110例ほど報告されています。現在、厚生労働省の指導では妊娠希望者への活用を除外対象としていますが、私たちはむしろ不妊をもたらす子宮筋腫の治療法として一つの選択肢になり得ると考えています。
 
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治療の説明も写真やイメージを用いてわかりやすい
宮地 患者さん側としては、あまり痛い思いをしないで、確実に治してくれる治療法は早く普及してほしいと思います。
 
バウアー ご期待に応えるべく、法規制などの問題解決に努めています。エクサブレートが最終的に目指すのは、ガン治療なんですね。現在、そのための研究が加速しています。たとえば、ある日本の乳腺専門病院では、自由診療でエクサブレートを乳ガン治療に活用していますが、乳房を損傷することもないので、この治療を受ける女性に好評です。男性の場合なら、前立腺ガンの治療において尿道などの周辺組織への影響を回避しながら治療を行うことができますし、さらに骨転移の疼痛緩和など、エクサブレートの可能性は広がっています。
 また、私どもが今一番力を入れているのは脳疾患への各応用です。この場合は、ヘルメット型の治療器を利用して超音波照射を行うことになります。まだ研究段階ですが、患者様のために早期実現を目指しているんです。
 
宮地 実は、私の知人が脳腫瘍になってしまい手術をしたことがあるんです。脳幹の部分だったらしく、左半身が不随になってしまいました。そういう危険性がこの治療法には少ないようですし、スタッフの皆さんに頑張ってもらって、ぜひ日本中の病院にエクサブレートを普及させていただけたらと思います。