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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
2014年2月に一般財団法人動物環境・福祉協会Evaを設立し、理事長に就任した杉本さん。翌年には公益認定を受け、動物愛護活動に精力的に取り組んでいる。動物を取り巻く環境は複雑で、一般の人々の場合は自ら目的を持って調べないと、知ることのできない事実も多い。そんな中、杉本さんがどのような思いを持って活動を続けているのか教えてもらった。
 
 

現状を変えるには真実を知る必要がある

 
財団法人を設立したのは2014年ですが、動物愛護の活動自体は、1990年頃から始めていました。地域を限定して、犬や猫を保護して譲渡活動をしていたんです。でも、あるとき地域猫活動という、野良猫の不妊や去勢の手術を支援する活動に携わりましてね。徐々に活動範囲を広げていく中で、2005年に発覚した、広島県の「ひろしまドックぱーく」での動物虐待事件をきっかけに、「なぜこんなことが起きてしまうのか」と真剣に動物を取り巻く環境について考えるようになったんです。
 
このような動物虐待事件をなくすためには、動物の愛護及び管理に関する法律を厳格化する必要があります。また、現在も年間10万頭以上の犬や猫の命を無慈悲に奪う殺処分の問題の背景には、過剰な供給をするペットビジネスの問題があります。動物を乱繁殖させて市場に流通させる仕組みを根絶しなければいけません。
 
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その仕組みの末端を担っているのが、ペットショップです。ペットショップに行くと子犬や子猫がたくさんいて、「可愛いな」「ほしいな」と考える方も多いと思います。しかし、「可愛いな」という衝動だけで覚悟もなくペットを購入できてしまう環境があるから、飽きてしまって捨てられる動物が絶えないんです。それに、ペットショップで見かけるのはまだ生まれて間もない動物ばかりですよね? 売れずに成長した動物たちが、どうなるかご存じでしょうか。
 
店員が引き取ったり、里親を探したりするペットショップもあるでしょう。しかし、引き取り屋に払い下げる業者が多くいるのです。引き取り屋に棄てられた犬や猫たちは生き地獄のような場所で、過酷な生活を強いられます。以前、業者の不要になった犬や猫は保健所に持ち込まれていました。保健所に持ち込まれた業者の犬や猫はこうして殺処分されていたのです。そうした状況を変えようと、2013年に「動物の愛護及び管理に関する法律」が改正され、ペットショップで売れ残った動物を、処分のために保健所に持ち込むことは禁止されました。しかし、個人名で保健所に動物を持ち込む、悪質な業者が絶えないのが現状です。
 
ペットショップで売れ残ったり、無責任な飼い主に捨てられたりした動物が保健所に持ち込まれているという、問題の根元ともいえるペットビジネスの闇を知れば、ペットショップで展示されている犬や猫を見て「可愛いね」という感情より、動物たちのその後を案じる気持ちが生まれるはずです。みんな、背後にある真実を知らないだけ。現状を変えるためには、より多くの人々に動物を取り巻く非常な現実を知ってもらうことが大切なんです。私たちは、それを広く伝えるため、日々講演などの啓発活動に勤しんでいます。

 
 
「日本における動物福祉の向上を目指している」と語る杉本さん。そのためには、根本的な問題を解決しなければいけないと言う。その、“根本的な問題”とは何なのか、詳しくうかがった。
 
 

根本的な問題の解決のために

 
昔より、状況が良くなったと感じる部分として、保護された犬や猫を迎えようと考える方が増えましたよね。それは、保健所に持ち込まれた動物たちが、いずれ殺処分されてしまうと多くの方が知ったからだと思うんです。最近では殺処分0を目指す自治体が増え、実際に達成したところもあります。しかし、それだけで喜んではいけないんですよ。
 
殺処分0というのは、あくまで行政の発表した数字に過ぎないんです。悪質な業者が、飼育放棄して闇に葬った数はカウントされていません。それに、どんな環境であろうとその動物たちを生かしておけば「殺処分0」ですし、動物愛護団体が全ての動物を引き取れば、それも「殺処分0」になります。つまり、保健所に動物を持ち込む人、ペットを捨てる人が0にならなければ、根本的な問題は解決しないということ。無責任な人でもペットを飼える環境というのが、そもそもの問題なんです。この問題を解決するには、最初にお話しした通り、ペットの衝動買いができてしまう環境をなくすことが必要だと考えています。
 
ペット流通の市場は大きく、力のある組織と戦うには覚悟が必要です。リスクがありますからね。ですから、こうした状況を打破するには、国民の皆さんに現状を知っていただき、ペットを飼うということがどういうことなのか、改めて見つめ直してもらう必要があります。多くの方が動物の命について考えるようになれば、いつか市場の改革にも辿り着けるはずです。
 
 
 
 
 

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