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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW


相手の喋りたいことを引き出し、被写体が力を抜いて撮影に臨めるようなアプローチに努めているうちに、宮澤さんの下にグラビア等の依頼がたくさん舞い込むようになった。そのいっぽうで、作家性の強い作品づくりにも注力し続け、2004 年から始まった伊勢神宮との関わりは、写真家にとどまらない領域へと活動の場を広げるきっかけとなっていく。  
 

自然と共存共栄する伊勢を世界に発信

 
昨年1月、伊勢神宮などの森と人間の共存をテーマに、僕が監督を務めたドキュメンタリー映画、『うみやまあひだ』が公開されました。3月には伊勢神宮の式年遷宮に関する一連の行事も完遂したので、伊勢神宮関連の仕事は一段落していたんです。ところが、今年の5月に各国の首脳陣が一堂に会して会議を開く、伊勢志摩サミットが開かれる話が決まった。それにあわせて全国各地で展覧会を開催しつつ、映画の上映や、それに伴う講演会なども行うことになりました。
 
最近は舞台映像の仕事の依頼をいただくなど、映像関連の仕事の話も少しずつ増えてきましたね。伊勢に関わる映画を撮ったことで、新たな仕事の可能性が広がっていることは、非常に嬉しいです。
 
伊勢神宮とそれを取り巻く周辺の自然の魅力は、2000年以上前から人間が自然と共存共栄関係を続けてきたことにあると思います。森があり川があり、川の水が流れ着く海のある土地ですから、様々な食材があるし、田畑もつくれる。人間の衣食住に必要な材料がそろっていて、そこに伊勢神宮という信仰のシンボルがある。
 
その伊勢神宮は、20年に1回遷宮をすることで、社殿は常に新しくあり続けている。しかも、その儀式は2000年も変わることなく続いているんですよ。これはピラミッドやパルテノン神殿がすでに廃墟であることからもわかるように、石の文化では残せない風景です。伊勢神宮を中心に自然と人とが共存共栄している世界は、日本人の心のDNAに刻み込まれたライフスタイルなんです。この素晴らしい風景を世界に発信することは、環境保全が叫ばれているこの時代にこそ意味があるものだと信じて、これからもその魅力をPRしていきたいですね。
 
 
(インタビュー・文 佐藤学 /写真 TATSURO/スタイリスト 水口卓磨)
 
 
 
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宮澤正明(みやざわ まさあき)
1960年生まれ 東京都出身
 

幼い頃から絵画や映画の世界にのめり込む。高校時代から写真の道を志すようになり、日本大学芸術学部写真学科に入学。同校で、フォトジャーナリストとして実績を持つ三木淳氏に師事し、才能を開花。大学卒業後、赤外線フィルムを使った作品 『夢十夜』で、国際写真センターの第1回新人賞を受賞した。その後は広告やファッション業界、女優やタレントの撮影を手がけ、150冊以上の写真集を出版。そのいっぽう、伊勢神宮の奉納カメラマンとして、2004年より伊勢神宮の撮影をスタート。伊勢神宮の写真が撮影できる人物として『浄闇』『遷宮』などの作品を発表した。2015年に公開された伊勢神宮と森の関わりを描いた映画『うみやまあひだ』では、映画監督としてデビューしている。


公式サイト
http://www.mmmp.net/

うみやまあひだ公式サイト
http://umiyamaaida.jp/

 
(取材:2016年2月)
 
 
 
 

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