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生まれ変わった老舗ホテル アートを発信し街を活性化
白井屋ホテル

◆前橋市の活性化を牽引する
 まちなかのアートなホテル

 
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土手をイメージしてつくられたという
グリーンタワー(写真:Shinya Kigure)
コロナ禍でリモートワーク化が一気に進んだこともあり、ライフスタイルも多様化しつつある昨今。こうした流れから、今後、人やモノの東京一極集中から地方分散がさらに加速していきそうです。2014年から国の政策としてスタートした地方創生の取り組みが功を奏している地域も増え、近年では地方発の魅力的な事業やプロジェクトも目立つようになってきました。
 
そんな中、現在盛り上がりを見せている期待の地域の一つが、かつて絹産業におけるイノベーションを興し、日本近代化の先駆けとなった群馬県前橋市。前橋市は2016年、官民一体の前橋ビジョン発表会で、都市の指針として「めぶく。」を発表しました。これにより「前橋モデル」と呼ばれるさまざまな地域活動が活性化し、特に中心市街地では魅力的な店やコミュニティスペースが生まれ、活気が戻り始めているのだとか。
 
この「前橋モデル」をグローバルに発信する起点として、2020年12月、「白井屋ホテル(SHIROIYA HOTEL)」が開業しました。前身である「白井屋旅館(後年ホテル白井屋へ改名)」は、江戸時代に創業し、多くの著名人にも愛された旧宮内庁御用達の老舗旅館。しかし、中心市街地の衰退に伴い、2008年には惜しまれながらも300年の歴史に幕を下ろしました。その後、2014年に「前橋モデル」を主導する田中仁財団の活動の一環として再生プロジェクトがスタート。国内外の多くのクリエイターの賛同を得て、まちなかのアートデスティネーションとして新たな歴史を刻み始めたのです。「めぶく。」まちの未来を切り拓く新たなランドマークホテル、白井屋ホテルの見どころをたっぷりとご紹介しましょう。
 
 

◆国内外のクリエイターが賛同
 アートと触れ合う非日常空間

 
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白井屋ホテルの前身は300年の歴史を持つ白井屋旅館
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ローレンス・ウィナー氏による作品(写真:Shinya Kigure)
廃業後、一時は取り壊しの危機にあった白井屋旅館。再生プロジェクトでは全体のデザインと設計を建築家の藤本壮介氏が手がけ、6年以上の歳月をかけて唯一無二のアートホテルとして見事に生まれ変わりました。
 
建物は、旧館を大胆にリノベーションしたヘリテージタワーと、旧河川の土手をイメージして新築したグリーンタワーの二棟で構成されています。国道50号に面するヘリテージタワーのファサードの作品は、コンセプチュアル・アートで知られるローレンス・ウィナー氏によるもの。まちの歴史や風土、掲げるヴィジョンなどをもとに制作されているとあって、「めぶく。」まちの象徴として地域を鮮やかに彩っています。ホテルのフロントで宿泊者を迎えるのは、写真家・杉本博司氏の「海景」シリーズから杉本氏自身がホテルに合わせて選んだという「ガリラヤ湖、ゴラン」。さらに、オールデイダイニングとして誰もが気軽に利用できる1階の「the LOUNGE」は、ダイナミックな4階までの吹き抜けにアーティストのレアンドロ・エルリッヒ氏による「ライティング・パイプ」が設置され、パイプに内蔵されたLEDの幻想的な光は、時間帯により異なる印象を生み出します。
 
また、客室はヘリテージタワーとグリーンタワーどちらにも用意され、客室ごとにそれぞれ異なる作家のアート作品を楽しめるようになっているのだとか。レアンドロ・エルリッヒ氏をはじめ、4人のクリエイターがデザインしたという4室のスペシャルルームも見逃せません。このほかにも、施設内外にはさまざまなアート作品が点在。目に映るもの、触れるものすべてが新鮮に感じられることでしょう。この非日常空間を、ぜひ体感してみてください。
 
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ホテルのフロントには杉本博司氏の「ガリラヤ湖、ゴラン」
が飾られ、非日常へと誘う(写真:Katsumasa Tanaka)
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レアンドロ・エルリッヒ氏の「ライティング・パイプ」が
the LOUNGEを優しく照らす(写真:Katsumasa Tanaka)
 
 

◆想像力と上州の食文化の融合
 五感を刺激する感動の食体験

 
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メインダイニングのthe RESTAURANT(写真:Shinya Kigure)
どこを切り取っても、見どころたっぷりな白井屋ホテル。展示されているアート作品以外にも、感性を刺激するような、工夫が散りばめられています。貸し切り利用のミストサウナやフィンランドサウナは、心身のリフレッシュにぴったり。汗をかいて思考もリセットすることで、施設内の作品や前橋の風景も、また違った見方ができるでしょう。
 
メインダイニングのthe RESTAURANTやオールデイダイニングのthe LOUNGEでは、シェフの想像力と上州の食文化が織りなす、感動的な食体験と出会うことができます。ミシュラン二つ星を獲得した東京青山の「フロリレージュ」のオーナーシェフ・川手寛康氏が監修するthe RESTAURANTでは、群馬出身の片山ひろシェフが腕を振るい、“上州キュイジーヌ”を提供。一方、「まちのリビング」として機能するthe LOUNGEでは、多彩なアラカルトを楽しむことができ、モーニングからディナータイムまでシーンを選ばず利用できるのも嬉しい限りです。また、グリーンタワーには群馬の苺「やよいひめ」など厳選素材をたっぷりと使った、前橋初となるフルーツタルト専門店the PATISSERIEもオープンしました。色とりどりの美しいフルーツタルトは、見ているだけでも心が躍るようです。
 
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感動的な食体験との出合い(写真:Shinya Kigure)
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the PATISSERIEのフルーツタルト(写真:KentaYoshizawa)
 
白井屋旅館の300年の歴史とアート、群馬の食文化、そして多くの人の思いが重なり誕生した白井屋ホテル。「めぶく。」拠点として日々変化していく前橋のまちとともに、今後どのような歴史を刻んでいくのでしょうか。ぜひ実際に前橋に足を運び、白井屋ホテルのすべてを五感で楽しんでみてください。
 
 
 
白井屋ホテル
〒371-0023 群馬県前橋市本町2-2-15
TEL  027-231-4618
https://www.shiroiya.com/
 
 

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