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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

終わりを新たな一歩に 
解体工事の常識を覆す

 

クレーム産業でクレームゼロを公言

 
鈴木 現在、事業内容としてはどのようなことを手がけておられるのですか。
 
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酒井 建物の解体工事です。新たな建物をつくる際には、古い建物を解体する必要がありますので、土地所有者や不動産会社の依頼を受けて工事を行っています。
 
鈴木 先代は不動産業を主にしておられたとお聞きしています。業務内容をシフトされたのですか?
 
酒井 先代の頃から徐々に土木工事や解体工事に移行していました。ただ、取り引き先は全て私が開拓しましたし、仕事の進め方についても父とは違う方法をとっていますので、私自身が興した事業と言えるかもしれませんね。
 
鈴木 そうなんですか! どのようなところが異なるのでしょう。
 
酒井 例えば、近隣の方への接し方です。解体工事業はクレーム産業と言っても過言ではないほど、近隣住民からお叱りを受けることが多いのです。原因は騒音や振動、粉塵など。父の時代はクレームがあって当たり前であったものを、私の代になってからは「クレームゼロ」を公言しています。
 
鈴木 あって当たり前のクレームをゼロに? お言葉ですが、騒音や振動、埃などは、工事の性質上、なくそうと思ってもなくせるものではないでしょう。無音で作業するなんて不可能ですよ。
 
酒井 無音での作業は不可能でも、配慮をすることはできます。例えば、近隣には赤ちゃんのいる家があるかもしれないし、夜勤の仕事で昼間睡眠をとる方もいるかもしれない。そうした事情を把握し、作業を行う時間帯を調整することは可能です。
 
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鈴木 なるほど。しかし、そのような事情はどのようにして把握されるのですか。
 
酒井 弊社では工事を始める1週間ほど前から近隣の家を回り、作業の説明を行ったり、配慮してほしいことなどを聞き取ったりします。父の頃は、作業着姿で挨拶に行き、仮にお目にかかれなくても作業を始めるという流れが当たり前だったところを、スーツ姿で、お目にかかれるまで何度も訪問するように方針を変えました。また同時に、職人が気持ち良く仕事ができるように段取りをすることも大切です。いわゆる「段取り八分」ですね。そうして用意周到にしておけば、多くのクレームが防げます。