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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

創意工夫の職人魂で
工場の安全確保に貢献

 

仕事を掛け持ちさせスタッフを育成する

 
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鶴久 人間は追い込まれた状況のほうが、いいアイデアが出ることもありますよね。ミュージシャンも、暇なときよりバタバタしているときにつくる曲のほうが、名曲が多いですから(笑)。
 
田中 私も忙しいのが大好きだし、自分を極限まで追い込むのが好きです。「これは大変だ」という状況になって、神がかり的なアイデアが浮かぶこともよくあります。それが、ものづくりの楽しみにつながるんですよ。
 
鶴久 とっさのときの判断力は、いくら勉強をしても高まるものではありません。常に現場でベストを尽くす田中社長のように、職人だからこそ身につくものなのでしょう。ちなみに、田中社長は、昔から手先が器用だったんですか?
 
田中 子どもの頃はF1レーサーになりたかったので、中学に入ると食事も忘れて機械いじりに熱中していましたね。中古のバイクを買って、エンジンをバラバラに分解していました。そして、高校時代にはオートバイのレースに参加。当時、私を応援してくれたのが、独立前に勤めていた会社の代表だったんです。高校を卒業するとき「うちで仕事をして、レースも続ければいい」と誘ってくださいました。
 
鶴久 それが、安全カバーの製造会社だった。
 
田中 はい。会社自体はFA装置メーカーだったのですが、入社後は安全カバー部門に配属され、営業から設計、製作、工事まで全ての業務を担当しました。20年近く勤務して4年前の2012年に起業したんです。
 
鶴久 全ての業務を経験したというのは、すごいことです! そういう方針の会社だったのでしょうか。
 
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田中 そうですね。しかも他社が1ヶ月かける仕事を、1週間で仕上げてしまう会社だったんですよ。1人で設計から工事までできることや、どんなに厳しい状況でも最後までやり遂げること。こうした当社の強みは前の会社で学んだものです。
 
鶴久 あらゆる業務に精通すると、スタッフ一人ひとりが創意工夫を凝らせるし、責任感を持って仕事をするようになりますよね。
 
田中 ええ。ただ工事をするだけだと設計の考えがわからない。逆に設計が現場に行かないと、製作段階でミスがあったとき、どれだけ現場が苦労するかを理解できません。いろんな職種を経験すれば、自分は営業に向いているのか設計に向いているのかなどもわかってきます。当社は若いスタッフが多いので、最低でも2つの仕事を掛け持ちさせて、違った職種の気持ちが理解できるよう育成しています。