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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

 
プロフィール すずきさとし。茨城県勝田市 (現ひたちなか市) 出身。神戸大学工学部建築学科で学んだ後に同大大学院へと進学。卒業後に公共建築を多く手がける(株)徳岡昌克建築設計事務所 (現・徳岡設計) に入社。同社大阪事務所にて6年、東京事務所で8年の計14年間勤務し、2008年には東京事務所長に就任。2010年に鈴木賢建築設計事務所設立。現在に至る。
 
 
 
家を建てる際に、建築士事務所へ直接相談に行く人はそれほど多くない。恐らく 「金額が高い」「建築士の感性を押し付けられる」 などの間違ったイメージを抱いているからではないだろうか。東京・吉祥寺で建築設計事務所を構える鈴木賢氏は “クライアント優先” のポリシーのもと、適正価格で施主の夢を叶える手助けをしているという。これまでの歩みと、仕事に向かう姿勢について話を聞き、“縁” を大切にする氏の人間的魅力に迫った。
 
 
 

不動産会社の営業担当に交渉し
自分で事務所の内装を設計

 
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インタビュアー 宮地真緒(女優)
宮地 建築士さんは新築の戸建てを手がけるイメージが強いですが、こちらの事務所の内装リフォームも鈴木代表が手がけられたとうかがいました。
 
鈴木 そうです。以前に使っていた家具を活用できる設計にするなど、リーズナブルに仕上げる工夫をしています。実はこの事務所との出会いもユニークで、気になっていた部屋を内覧しに来てみたら、ちょうど成約したばかり。残念と思っていたら、別の不動産屋さんが扱う上の階の部屋が空いているという話を聞き、これからリフォームをするタイミングだったので、担当の方に 「私が購入するので内装の設計をやらせてください」 とかけ合ったのです。
 
宮地 その方はビックリしたでしょうね。でも、OKしてくれたんですね?
 
鈴木 そうなんですよ。上司にかけ合ってくれるなど、非常に骨を折ってくださいました。設計をやり直したので工期が3ヶ月伸びましたから、その間の管理費が負担になったにも関わらず、ですよ。その方でなかったら購入できていなかったと思います。本当に今でも感謝しています。
 
宮地 すっごく素敵なエピソードですね! 鈴木代表のほうのタイミングといい、物件との出会いといい、その方のことといい、つくづく縁ですよね。
 
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築35年のマンションを自らスケルトンリフォームしたオフィス兼住居。壁には造付の書架。生活シーンに合わせたキメ細かい工夫が随所に光る
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リビング(左)と合わせて1室空間にしたダイニングルーム。フローリングは柔らかい質感の無垢材を使用。くつろいだカフェのような雰囲気だ