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スポーツ 建山義紀の「ココだけの話」 vol.12 (最終回) ここだけの話も最後やで 建山義紀の「ココだけの話」 テキサス・レンジャーズ投手

スポーツ
 
 こんにちは、建山義紀です。
 突然ですが重大発表があります。それは・・・このコラム「ココだけの話」が今回で最終回になります! 思い返せば、北海道日本ハムファイターズでの選手生活11年、その後海を渡り、テキサス・レンジャーズ2年目にこのコラムが始まり、ニューヨーク・ヤンキースを経て、阪神タイガースでの国内復帰、そして現役引退・・・いろいろありました。「ココだけの話」というタイトルにしたせいか、このコラムで僕の裏側を全部話してしまってきたような気がしなくもないですね(笑)。ということで、最終回となる今回も、ここでしか書けないことを書いていきましょう!
 
 

内側と外側から野球を見て

 
 いよいよ、今シーズンもプロ野球が開幕しました。現在は野球評論家として解説者の活動を中心に、メディアで野球を伝える仕事をしていますが、この“解説”に関して言えば、ラジオとテレビでは勝手が違うので、そこは注意しています。
 
 野球を外から見るようになって、強く思ったのは、当たり前ですけど「選手ってすごく注目されているんだな」ということ。中継席から見ているとすごく感じるんですよね。現役の時は、人に見られていることを強烈に意識するようなことはなかったので、だからこそ今、ファンと同じ場所から選手の様子を見ていると、改めて「プロ野球選手ってすごいんだな」とか「かっこいいなぁ」と思うと同時に、自分自身が新たな人生を歩んでいるんだなということも実感しています。
 
 野球には、いろいろな楽しみ方があります。シーズンを通して何試合も観ることができる人であれば、どんな選手がどのようにレギュラーをとっていくか、その顔ぶれの移り変わりを追っていく楽しみもありますね。特にファイターズは、若い選手がレギュラー取りに奮闘中なので、そういうところを見るのも楽しみの1つだと思います。
 いっぽうで、野球が見たくて野球場に行く人ばかりではないと思うんですよね。なんとなく付き合いで球場に行ってとか、見ているうちに好きになっていくという潜在的なファンの方もいるでしょう。そういう方にとっては、エンターテイメント性のあるイベントとしてのおもしろさが伝わると、より野球を身近に感じられますよね。例えば、選手が試合前・試合後にファンサービスをしたり、イニングの間に試合を盛り上げるイベントがあったり。これは日本よりはアメリカのほうがファンを意識した構成になっていると思います。アメリカの場合は、多少イニング間の予定時間が押しても、イベントをやりきるパフォーマンス根性がすごいですから(笑)。
 プレーに関してはもちろんですが、日本とメジャーを経験できたことは、今後の仕事においても大きな財産であり、強みになったと感じています。
 
 少し前になりますが、開幕シリーズでは日本ハム対楽天の試合の解説もしましたが、東北楽天ゴールデンイーグルスの内野手ゼラス・ウィーラー選手は、去年ヤンキースのマイナー時代に一緒にプレーしていました。8月からはメジャーにも籍をおいていましたが、彼はずっと日本に来たがっていました。
 現在は、メジャーリーグと日本球界もだいぶ選手が行き来していて、マイナーの選手たちにも、日本の情報が入ってきているので、日本で活躍の場を求めている選手も非常に多いですね。
 こういった話は同じチームメイトだったからこそ語れることなので、今後は、今までの経験を余すところなく伝えていきながら、いろいろな意味で野球界に貢献していきたいですね。
 
 

現役時代から変わらないこと

 
 今は、野球解説の他にも、北海道放送で建山義紀の『ほな、ウチおいで!』というラジオ番組もやらせてもらっていますが、ラジオも自分の野球人生に非常にプラスになってますね。自分の番組を聴き直して、もっともっといいラジオになったらいいな、と思ってます。やるならとことんやりたいタイプ。僕は、ゼロか100なので、やるからにはしっかりやりたいと思っています。このラジオのお仕事もそうですが、どんな時でも、できるだけ客観的に自分を見るようにしてますね。それは現役の時も一緒で、良いボールを投げたから満足するのではなくて、自分のボールってどう見えてるのかな、とか、そのボールがどうなのかを野手に聞いたりして、あまり主観的にならないようにしていました。現役時代は、「これはタテ(建山)の場合まずいよ」とかっていうのを聞きたいがために、元日本ハムの稲葉さんに
 
僕 「もし稲葉さんが僕と対戦したら、どういうふうに打ちますか?」
稲葉さん 「タテの場合、ショートの頭を目がけて、とにかく引っ張らないように打ったら、左バッターは打てるから、俺だったらそういうふうに打つよ。タテのスライダーは、いつか甘くなるから、それをひたすら待つ」
 
とか、いろいろな意見を聞いてました。僕は150キロの球を投げられるタイプではなかったので、相手の隙間を突いて、抑えていかないといけなかったので、そういうところはよく勉強してましたね。
 これからは、ラジオやテレビでも相手の隙間を突くようなトークをしていきますけどね(笑)。
 
 

吸収できるものは吸収してきた

 
 そもそも、アメリカに渡った時も、「せっかく行くのだから、学べるものは学びたい」という気持ちが強かったです。もちろん選手としてプレーすることが一番ですが、その傍らで、アメリカでは、どういうチームづくりをしているのか。人事について調べてみたり、誰が人事の決定権を持っていて、それをどのように行使しているのか、契約に関するお金の決定権は誰が持っていて、どうマネジメントしているのか。などを見聞きしてきました。アメリカは日本と違って移籍が活発ですから、そこでチームづくりの中で手腕を発揮している人は誰なんだろう。というのは見て勉強してました。
 
 ユニフォームを脱いでも、野球人としての仕事はしたいと思っていましたし、ゆくゆくフロントなり、現場でコーチとなった時に、そこから指導者としての準備を始めたのでは遅いですから。35歳でメジャーに行った時点で、先に選手生命がどれだけ残っているかわからないような状態だったので、吸収できるものは吸収しておく、何か先駆けていくことが大事だなと思っていました。
 
 
 
 
 
 
 
 

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